教保文庫の8月のエッセイ月間ベスト10と注目の新刊情報をご紹介します。『心がそっと傾く』『愛だけが残る』などで知られる詩人ナ・テジュの新作エッセイが8位にランクインしました。注目の新刊では、オタ活を熱く語る漫画家のエッセイを取り上げています。
※ランキング記事ではハングルのルビを省略します。
教保文庫ベストセラー月間ベスト10(韓国語のエッセイ)
1位:『호의에 대하여(善意について)』
문형배(ムン・ヒョンベ)著/김영사(キムヨンサ)刊/2025.08.28

문형배
尹錫悦前大統領の弾劾審判において、憲法裁判所長権限代行という立場で判決文を読み上げた姿が記憶に新しい、元裁判官の初の著書が出版されました。経験の乏しさを補うために読んだ本の数々、恩師との出会い、受刑者への贈り物、健全な社会を望む気持ちなど、1998年から書き溜めてきた文章から厳選された120編が収められています。
2位:『료의 생각 없는 생각(RYOの考えのない考え)』
료(RYO)著/열림원(ヨルリムウォン)刊/2025.06.16

료
3位:『어른의 행복은 조용하다(大人の幸せは静かだ)』
태수(テス)著/페이지2북스(ページ2ブックス)刊/2024.11.4

태수
4位:『행복할 거야 이래도 되나 싶을 정도로(幸せになれるはず、不安になるほどに)』
일홍(イルホン)著/부크럼(ブックラム)刊/2024.7.29

일홍
5位:『다정한 사람이 이긴다(やさしい人が勝つ)』
이해인 (イ・へイン)著/필름(Feelm)刊/2025.08.13

이해인
感情をコントロールし、主体的に生きる方法を伝えたベストセラー『감정은 사라져도 결과는 남는다(感情は消えても結果は残る)』(未邦訳)の著者による、2年ぶりの新作エッセイです。やさしさは、人との対立を解消して信頼関係を築くだけではなく、自分を守り、人生の重要なチャンスを生み出す武器にもなるといいます。本書ではやさしさを「相手を思いやる気持ち」と定義し、著者自身の経験を通して、それが人間関係や自分自身の内面にどのような変化をもたらすのかを伝えます。
6位:『단 한 번의 삶(たった一度の人生)』
김영하(キム・ヨンハ)著/복복서가(ボクボクソガ)刊/2025.04.06

김영하
7位:『우리의 낙원에서 만나자(僕たちの楽園で会おう)』
하태완 (ハ・テワン)著/북로망스(ブックロマンス)刊/2025.05.21

하태완
8位:『너를 아끼며 살아라(君を大切にしながら生きて)』
나태주(ナ・テジュ)著/더블북(ダブルブック)刊/2025.06.12

나태주
『心がそっと傾く』『愛だけが残る』(黒河星子訳/かんき出版)などで知られる著者の新作エッセイです。これまで150冊以上の本を刊行し、若い世代からも支持される詩人となった著者ですが、無名時代には何度も原稿を突き返されたり、失恋したりと、つらい瞬間を経験してきました。本書は、講演やインタビューで語られたエピソードに加え、偉人らの言葉を引用しながら、誰にも「幸せに生きる権利」があることを伝えます。「9回失敗したのであれば、それは9回始めたということです。どうして10回目のスタートをためらうのでしょうか?」などの言葉が心に響きます。
9位:『달리기를 말할 때 내가 하고 싶은 이야기(走ることについて語るときに僕の語ること)』
무라카미 하루키(村上春樹)著、임홍빈(イム・ホンビン)訳/문학사상(文学思想)刊/2016.12.15

무라카미 하루키
走ることや創作の秘密などが綴られた原著は2007年に刊行されましたが、韓国では2009年に翻訳出版されました。ランクインしたのは、2016年に出されたハードカバー版です。
10位:『자유로운 생활(自由な生活)』
오송민 , 이지훈(オ・ソンミン、イ・ジフン)著/위즈덤하우스(ウィズダムハウス)刊/2025.08.06

오송민 , 이지훈
南山を望む場所でブランドストアを営みながら、インフルエンサーや作家としても活躍する夫婦が、苦労の末に授かった「自由(チャユ)」とともに送る生活を「自由」というキーワードで綴ったエッセイです。他人の目や世間一般の「成功」の基準にとらわれず、独自の価値観で自由に生きる家族のあり方を通して、自分にとっての「自由な生活」とは何かを見つめ直すきっかけをもらえる一冊です。
注目の新刊
10位:『나의 오타쿠 삶(私のオタク生活)』
정해나(チョン・ヘナ)著/낮은산(ナジュンサン)刊/2025.08.20

정해나
ナジュンサンの青少年エッセイ「ヘマ」シリーズの6冊目となる本書は、「오늘의 우리만화상(今日の私たちのマンガ賞)」を受賞した『ヨナタンの声』(未邦訳)の作者によるエッセイ集です。『ガラスの仮面』にハマってオタクとしての一歩を踏み出し、それ以降もマンガや演劇などに強烈な愛を捧げてきた著者。演劇のワンシーンを体験すべく向かったイギリスで、不思議な感覚に包まれて作品のインスピレーションを得た経験など、オタ活にまつわるエピソードが満載です。「好きだ」という言葉だけでは語り切れない思いに共感する人も多いのではないでしょうか。(文/金知子)
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