ハン検とTOPIKの特徴を紹介

ハン検、TOPIKをちゃんと知ろう!ーハン検とTOPIKの特徴を紹介ー

日本で受験できる韓国語の試験には「ハングル」能力検定試験TOPIKがあります。それぞれの特徴を見てみましょう。

「ハングル」能力検定試験

日本国内のNPO団体、ハングル能力検定協会により、日本の韓国語学習者を対象に実施されている試験が「ハングル」能力検定試験(以下、ハン検)。

日本全国約37カ所で実施されています。1993年の開始以来累計出願者数は延べ52万人に上ります。

ハン検の特徴は、何といっても、日本にいる韓国語学習者の習得過程や日本国内の学習環境を念頭に置いた試験であること。さらに級ごとに学習目標を示し、それが理解できているかを測る試験であると言えます。

過去には「文法重視」「文学的な素材が中心」などと言う人もいましたが、数度にわたる改訂を通じて、現在では、実用的な韓国語能力を測る試験となっています。

試験は受験級ごとに異なる試験を受ける形で、1級と2級を除き日本語で出題がなされます。市販のガイドブックを通じて級別の必修項目が公表されており、過去問題や公式の対策本も充実しています。

第60回ハン検出願者・受験者・合格者など
表1(ハン検ウェブサイトより)

ハン検協会からはハン検の受験者数と合格率が公表されています。

上の表によると、2023年秋に実施されたハン検では、合格率が3~5級は60%〜80%台となっており、準2級になると18.6%と大きく落ち込んでいます。

2023年秋は特に難しかったようで、1級は合格率6.5%の難関、合格者も6人でした。歴代の1級合格者は全国でたったの584人。

つまり、学習を着実に積み重ねていけば、3級あたりまでは昇級することができ、中級に当たる準2級あたりから難しくなります。1級合格は「韓国人でも難しい」という冗談もあるほどの難関で、1級合格者には「최고봉(最高峰)」と書かれたカードが贈呈されます。

ハン検の最高峰カード

ハン検の成績は、特技・資格として日本国内で広く通用し、多くの大学では単位として認定もされています。

TOPIK(韓国語能力試験)

韓国文化の普及を追い風に、世界的に受験者を増やしているのがTOPIKです。TOPIKはTest of Proficiency in Korean(韓国語能力試験)の略。

韓国政府の教育部(日本の省に該当)傘下の国立国際教育院が認定・実施する韓国語の試験。世界97の国と地域で実施されており、日本では韓国教育財団により主管され、全国約52カ所で年3回実施されています(韓国では年6回受験可能)。

TOPIKは、2014年に大きな改訂が行われ、現在TOPIK IとTOPIK IIの二つの試験が実施されています。得点に応じて下位試験のTOPIK Iの受験者は1、2級、上位試験のTOPIK IIの受験者は3~6級に振り分けられます(どちらの試験も、規定の点数に達しない場合は級の付与はなし。6級が最上級)。

TOPIKは、韓国語をどれだけ適切に運用できるかを測定するテストであり、受験者に向けて具体的な出題範囲や必須項目などは示されていません。

ハン検とは異なり、公式の語彙リストもなく、過去の試験問題も一部の試験分のみ公表されています(ただし、市販の対策本などでおおよその基準は知ることができます)。

解答方式は四者択一が基本ですが、TOPIK IIでは作文問題もあります。問題や指示文は全て韓国語なので、中級より下のレベルの人には下位試験のTOPIK Iも難しく感じられるはずです。

また、TOPIK IIは中級レベルから最上級合格を目指す上級者までが同じ問題を解く、つまり3~6級の各レベルの問題がまんべんなく含まれている試験のため、2級を終えて、次に3、4級を目標にするレベルの人にはかなり難しく感じられるはずです。

難しがっているいぬ
むずい……

最上級6級合格のためには、総合的な韓国語の能力、さまざまな話題に対応できる語彙力が求められ、特に韓国語で論理的な文章を展開できるよう、作文対策が必須になります。また、スピーキング試験も導入される予定(2023年12月現在)です。

TOPIKは、韓国で留学生の大学・大学院入学選考や企業への就職、ビザや各種資格取得の際の要件として提出を義務付けられていることがあります。

どちらをどの順に受ければいいの?

試験によって問われる能力や技術は少しずつ異なりますが、総合的な韓国語の実力が求められるという点で変わりはありません。

両試験の級ごとのレベルはそれぞれぴったり対応してはいませんが、複数の韓国語教師、編集者の意見を基に対照表を作ってみました。

人によっては実感的に異なる部分があるかもしれませんが、おおよその比較の目安としてご覧ください。

ハン検とTOPIKのレベル比較表

さらなるステップアップに向けて

日本の学習者の現状を考えると、多くの学習者にはTOPIKの最上級6級がちょうどよい目標になるでしょう。

実用的な韓国語能力として十分なレベルですし、合格の可能性から見ても「狭き門」とまでは言えません。

6級を取得してTOPIK IIを終えたら、それぞれ好きな学習を行ったり、これ以降の記事で紹介するような資格や試験に挑戦したりするのもいいでしょう。

また。ハン検の2級、1級に合格するには、普段出くわしても何となく分かったつもりで流してしまう固有語の語彙や慣用句などの項目を幅広く、正確に理解する必要があります。

それはすなわち「本物の韓国語力」と言い換えることができます。長期計画を立てて、韓国語の検定試験の最高峰ハン検1級を目指してみるのはいかがでしょうか?

バンザイしているねこ

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韓国語学習ジャーナルhana Vol. 35「韓国語の検定試験ガイド」
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