韓国の2週間の出来事をピックアップして紹介するコーナー。今回は、11月9日から22日までの出来事から、以下の三つのニュースをご紹介します。
韓国の放送各社が公式YouTubeで提供するニュース動画もぜひご覧ください!
OECD国家中、韓国が移民増加率2位
11月14日にOECD(経済開発協力機構)が発表した「国際移民アウトルック2024」によると、2023年の韓国への永住型移民*は8万7100人で、5万7800人の前年に比べ50.9%増加しました。
*「国際移民アウトルック2024」で用いられている「永住型移民」という用語には、永住権や市民権を得ての移民だけではなく、難民や留学生、短期就労者なども含まれます(ちなみに日本の2023年の数字は15万4800人)。
これはOECD諸国の中では英国に次ぐ2位の増加率で、人手不足が続く韓国社会が外国人の受け入れを拡大させていることの表れだといえます。
今回、韓国で移民の数が増加した理由には、農家などで働く季節労働者の数が7000人から2万4000人へと3.5倍に増えたことが大きな要因といえます。2015年から始まった季節労働者制度ですが、大幅に運用を変えて、ビザが取得できる要件を緩和しました。
以前紹介した、ソウル市の가사관리사(家事管理士)のモデル事業も来年は拡大して実施する方向で、韓国への移民の増加は当面続きそうです。
下で紹介するニュース動画には、かつて移民の送り出し国だった韓国が、受け入れ国になった感慨深さが伝わるものになっています。韓国で最も有名な日本人の1人である사유리(サユリ)さんも登場します。
日韓航空便の利用者が2000万人超。地方都市が人気
11月17日、韓国の국토교통부(国土交通部)が発表した統計によると、今年1月から10月までに日韓航空路線の利用者が、2000万人を超えました。
日韓を往来する飛行機の年間利用者数は、これまでの最高記録が2018年の2135万人でしたが、これを11月中に更新することは間違いなさそうです。この中で訪日韓国人の数は720万人となっており、平均すると1日にのべ約4万7000人の韓国人が日韓間を飛行機で移動している計算になります。
韓国人の訪日は「N차 방문(複数回訪問)」が珍しくない段階に入っています。ニュース動画にもあるように、松山や熊本、静岡など、韓国のLCCが就航する地方都市にも熱い視線が注がれています。
엔저(円安)を背景に、iPhoneの新製品やウイスキー、韓国の若者に人気な메종 키츠네(MAISON KITSUNÉ)などのブランドものなどを購入する買い物需要も堅調なようです。
同徳女子大学の共学化に学生たちがNO!
동덕여자대학교(同徳女子大学)は1950年創立の総合女子大学です。同大学の系列中学は1908年創立、高校は1910年創立で、韓国で女子教育を先駆けて行ってきた伝統があります。
その同徳女子大学で11月7日に男女共学化のうわさが持ち上がり、これに反発した学生たちが10日以降に大学の建物を占拠し、講義ができない状態が続きました。
学生たちは自分たちの知らないところで大事なことが決まると憤慨し、大学側はまだ学生たちに意見を問うほどのことは決まっていないと反論しました。
20日、同大学の총학생회(学生自治会)は「共学への転換」について問う학생 총회(学生総会)を開き、全学生の約3割に当たる1973人の参加者中、2人の棄権以外の全員が反対に票を投じました。
学生自治会は翌日、この結果を持って大学側と面談を行い、大学側が「共学への転換」の議論を当分行わないことを表明したことで、講義が再開される運びとなりました。
少子化が続く中、韓国でも学生確保の観点から共学化を検討する女子大学が出ています。一方で、同徳女子大学の学生たちへのインタビュー記事を読むと、女子大学は女性に対する性犯罪や差別、여성 혐오(ミソジニー)と闘う砦としての役割があることがわかります。
今回の問題は、単に男子学生を大学に入れるかどうかではなく、こうした観点からも理解する必要がありそうです。
韓さんのニュース+α「韓国人の利用客が多い空港は?」
2番目に取り上げたニュースに関するクイズです。日韓航空路線の内、利用客が最も多い日本の都市は東京で、2位が大阪となっています。3位はどこでしょうか?
東京が成田空港と羽田空港を合わせて664万人、大阪が568万人で、正解の福岡が390万人です。以下、4位札幌が128万人、5位名古屋が92万人、6位那覇が63万人と続きます。これからは、この順位も変わるかもしれませんね。
今回紹介した3つのニュース、いかがだったでしょうか? 紹介したニュース動画はいずれも2分前後のものです。聞き取り練習にぜひ生かしてみてください。