韓国の2週間の出来事をピックアップして紹介するコーナー。今回は、1月10日から1月23日までの出来事から、以下の三つのニュースをご紹介します。
韓国の放送各社が公式YouTubeで提供するニュース動画もぜひご覧ください!
「非常戒厳」宣言の尹大統領、内乱の容疑で拘束
1月15日、非常戒厳の宣言によって内乱を首謀した容疑で、윤석열(尹錫悦)大統領が합동수사본부(合同捜査本部)に拘束されました。
突然非常戒厳を宣言し国を混乱に陥れた尹大統領には、大統領職を罷免する弾劾訴追と、内乱罪の容疑が突きつけられています。韓国の刑法に定められている内乱罪は「領土において国家権力を排除したり、憲法にもとづく秩序を乱したりする目的で暴動を行う」という犯罪です。
大統領には不訴追特権が保障されていますが、内乱罪はその例外となっており、有罪になると死刑または無期懲役が課される重罪です。
고위공직자범죄수사처(高位公職者犯罪捜査処)や警察などの合同捜査本部は尹大統領を内乱の首謀者として捜査を進めていますが、尹大統領は「戒厳は大統領の高度な政治的判断」であり司法審査の対象にならないと主張しています。
19日、ソウル西部地裁が尹大統領に対し、最長で20日間身柄を拘束できる逮捕状を発布すると、尹大統領の支持者の一部が地裁に乱入して器物を破壊するなどの暴動が発生、90人が現行犯逮捕されました。
一方、1月17日に発表された世論調査(韓国ギャラップ)によると、与党「국민의힘(国民の力)」支持が39%で、野党「더불어민주당(共に民主党)」支持の36%を上回る結果となりました。誤差の範囲内ではあるものの、与党が野党に支持率で上回るのは5カ月ぶりのことで、この問題に関する野党の対応への反発が反映されているとの声もあります。
経済成長率の見通しを下方修正 非常戒厳騒動が影響
한국은행(韓国銀行)は、今年の経済成長率の見通しを1.6~1.7%に修正しました。この数値は、2カ月前に発表した1.9%を下方修正したものです。
韓国銀行は、1月20日に公開した「2025年1月金融通貨委員会決定時の韓国銀行の景気評価」と題されたレポートで、昨年12月の非常戒厳騒動がもたらした政治の不確実性とそれに伴う消費マインドの萎縮が内需に影響すると予想しています。
それから3日後、その予想を裏打ちするような数値が発表されました。韓国銀行は1月23日、昨年の国内総生産(GDP)の成長率を発表し、見通しより0.2%低い2.0%であったことを明らかにしました。第4四半期が予想を大きく下回る0.1%にとどまったことが原因で、多くのメディアは「계엄 쇼크(戒厳ショック)」という見出しを掲げました。
今後トランプ新大統領による韓国製品の関税引き上げも予想されており、韓国はトップ不在の中で難しい経済の舵取りを迫られています。
スモッグで前が見えないソウル PM2.5が猛威
毎年冬から春先にかけて、韓国では西部を中心に猛威を奮う미세먼지(PM10)。粒子の大きさがより小さいものを초미세먼지(PM2.5)といいますが、1月20日、この冬初めてソウルに「초미세먼지 주의보(PM2.5注意報)」が発令されました。
PM2.5注意報は、1時間の平均濃度が75㎍/㎥以上の状況が2時間以上続くと発令されますが、ソウルではこの日、100㎍/㎥を記録しました。関連のニュース動画を見ると、スモッグによって視界がとても悪いのがわかります。
韓国でPM2.5の濃度が高くなるのは、国内の要因に加え、海を挟んだ中国東部の大気汚染物質が偏西風に乗ってやってくるからと考えられています。
PM2.5は髪の毛の太さの30分の1程度と大変小さく、肺の奥まで達することがあり、呼吸器疾患の悪化につながるといわれています。
天気予報では、PM10とPM2.5の濃度によって、「좋음(良い)」「보통(普通)」「나쁨(悪い)」「매우나쁨(とても悪い)」の4段階の予報を出しています。PM2.5の値が2日にわたって基準値を超える場合などは、自治体単位で公共機関の駐車場を閉鎖したり、公共車両の運行を制限したりする「비상저감조치(非常低減措置)」が取られます。PM2.5を少しでも減らすのが目的です。
韓さんのニュース+α「今年の秋夕は何連休?」
1番目に取り上げたニュースに関するクイズです。長くなることが多いのが省庁の名称。そのため、頭文字をとって略称で呼ばれることも多いですが、次の3つの中には正しくない略称があります。それはどれでしょうか?
1합수본(合捜本) ←합동수사본부(合同捜査本部)
2헌재(憲裁)←헌법재판소(憲法裁判所)
3고수처(高捜処)←고위공직자범재수사처(高位公職者犯罪捜査処)
正しくは、「공수처(公捜処)」です。韓国のニュースによく登場しますが、なぜ頭文字が含まれていません。頭がこんがらがりますよね。
今回紹介したニュース、いかがだったでしょうか? 紹介したニュース動画はいずれも2分前後のものです。聞き取り練習にぜひ生かしてみてください。