SNSなどを通じてサイバー空間で形成された「世論」が人々の考え方や行動に大きな影響を与えているということが当たり前になった現在。
『댓글부대(コメント部隊)』では、その裏側でどんな思惑がうごめいているのかを1人の新聞記者の視点から探っていく。
ドラマ「나의 해방일지(私の解放日誌)」でブレイクした俳優손석구(ソン・ソック)が、情報提供者たちの言葉を手がかりにしぶとく真実へと迫っていく主人公に扮している。
失意の新聞記者の前に現れた青年の正体は?

ある機械を製造する中小企業の社長から、不正入札についての情報を提供された新聞記者임상진(イム・サンジン)。
巨大企業만전(マンジョン)に関わるこの特ダネは一面を飾るビッグニュースとなったが、同じ日に発覚した芸能人のスキャンダルによって話題性を奪われただけでなく、誤報ではないかと疑われてしまう。
その後、告発者である社長は自ら命を絶ち、サンジンも休職を余儀なくされる。
そんなある日、自分の報道が間違っていないことを知っているというメッセージを受け取ったサンジンは、その男との待ち合わせ場所に向かう。そこにいたのは“찻탓캇”(チャッタッカッ)と名乗る若い男だった。
人気小説家チャン・ガンミョンの原作を映画化

映画化された『한국이 싫어서(韓国が嫌いで)』や、近未来ディストピア小説『우리의 소원은 전쟁(我らが願いは戦争)』など、日本でも多くの作品が翻訳されている장강명(チャン・ガンミョン)が2015年に発表した作品を原作とする本作。
小説は李明博大統領時代に起きた国家情報院などによる世論操作事件をモチーフとしていたが、映画では삼성(サムスン)グループを思わせる巨大企業の下で活動する「コメント部隊」が取り上げられている。
안국진(アン・グクジン)監督はインタビューの中でこうした変更について「コメント部隊を絶対悪として扱いたくなかった。私たちが彼らをどうやって消費しているのか、避けられない共生関係がどうやって形成されるのかを、記者の視線から見ていくことがポイントだった」と語っている。
インスタグラム投稿の中にさりげなく商品を置く間接広告や、同時期に公開される映画の評判を落とすための驚きの方法など、実際にも行われていそうな事例が次々登場する。
ソン・ソックがユニークな記者を好演

アン・グクジン監督が「この人しかいない」という気持ちで出演をオファーしたソン・ソックが、調子が良くて、ややひねくれ者の記者サンジンを好演。
キャスティング当時は「私の解放日誌」の放送前で知名度が低かったため、投資者たちが心配したとのことだったが、映画の公開時には堂々たる主演俳優となって監督の期待に応えた。
そのほか、サンジンの前に現れるチャッタッカッ役を『이상한 나라의 수학자(不思議の国の数学者)』(2022)の김동휘(キム・ドンフィ)、彼の仲間찡뻤킹(チンフォッキング)をドラマ「지옥(地獄が呼んでいる)」シーズン2の김성철(キム・ソンチョル)、팹택(ペプテク)をドラマ「악귀(悪鬼)」の홍경(ホン・ギョン)が演じている。
原題:댓글부대
邦題:コメント部隊
公開:(韓国)2024年3月27日/(日本)2025年2月14日
監督:アン・グクジン
出演:ソン・ソック、キム・ドンフィ、キム・ソンチョル、ホン・ギョン