2000年1月の『シュリ』公開をきっかけに韓国映画のおもしろさに気づき、03年から紹介されたドラマ『冬のソナタ』によって、韓国発のカルチャーに対する関心が爆発的に高まった日本。一方、韓国では、植民地支配を受けた日本の大衆文化の流入が長く規制され、98年以降、ようやく段階的に緩和されるようになった。2001年が舞台の『君と僕の5分』では、まだまだマイナーだったJ-POPを愛する男子高校生たちが過ごす、掛け替えのない日々が描かれる。
映画を彩るglobeの名曲

대구(大邱)の高校に転校してきた高校1年生경환(ギョンファン)。なかなかクラスになじめず、イヤフォンから流れる音楽を聴きながら孤独に過ごしていた彼に、学級委員長で隣の席に座る재민(ジェミン)が話しかけてくる。ギョンファンが日本のアーティストglobeの『DEPARTURES』を聞いているのに気づいたジェミンは「自分も彼らの音楽が好きだ」と打ち明ける。音楽をつうじて親しくなっていくふたり。やがて、ギョンファンの学校生活にも少しずつ光が差してくる。

俳優でもあるオム・ハヌル監督の長編デビュー作

主人公たちと同じく、大邱で10代を過ごしたという엄하늘(オム・ハヌル)監督が学生時代に書いた短編のシナリオをもとにしたという今作。「子どもの頃に仲よくしていたのに、大人になって消息がわからなくなってしまった友人はどうしているのだろう?」という思いから始まった物語では、かつての自身と同じように日本の音楽とアニメーションが好きな「オタク」たちが過ごす時間と、セクシャル・マイノリティの初恋が繊細に重なっている。オム・ハヌル監督は、하정우(ハ・ジョンウ)の監督作『로비(ロビー! 4000億円を懸けた仁義なき18ホール)』(25)などに出演する俳優でもある。そのためか、ギョンファンの母役で『82년생 김지영(82年生まれ、キム・ジヨン)』(19)の공민정(コン・ミンジョン)、高校の担任役で『극한직업(エクストリーム・ジョブ)』(19)の이동휘(イ・ドンフィ)、成長したギョンファン役でドラマ『ペントハウス』シーズン2&3の온주완(オン・ジュワン)など、長編デビュー作と思えない豪華な俳優たちが脇を固めている。

主演はミュージカル出身のシム・ヒョンソ

主演俳優たちも魅力的だ。内気な主人公ギョンファン役は映画『リトル・ダンサー』(00)のミュージカル版『ビリー・エリオット』でデビューした심현서(シム・ヒョンソ)。「ダンス病が蔓延した」世界で踊りまくる短編映画『유월(ユウォル:世界を踊らせた少年)』はYouTubeで740万再生を記録し話題を集めた。その後もドラマ『豚の王』などに出演している。また、明るくスポーツの得意なジェミン役を『내가 죽던 날(ひかり探して)』(20)の현우석(ヒョン・ウソク)が演じている。

ギョンファンとジェミンが大ヒット作『엽기적인 그녀(猟奇的な彼女)』を一緒に見に行くほか、조폭(組織暴力団)コメディの代表作『달마야 놀자(達磨よ、遊ぼう!)』(01)など、当時、流行していた映画のタイトルがあちこちに見られるのも楽しい。なお、映画の冒頭で注意喚起の文章が出るように、20年以上前が舞台のこの映画には同性愛嫌悪(ホモフォビア)を感じさせる描写が登場することを書き添えておく。


原題:너와 나의 5분
邦題:君と僕の5分
公開:(韓国)2025年11月5日(日本)2026年6月5日
監督:オム・ハヌル
出演:シム・ヒョンソ、ヒョン・ウソク、コン・ミンジョン、イ・ドンフィ
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