【韓国の小説】2025年7月月間ベストセラー&新刊情報

教保文庫の2025年8月の月間ベスト10と注目の新刊情報(韓国小説)をご紹介します。韓国の新鋭ナンバーワンホラー作家と称され『カクテル、ラブ、ゾンビ』(カン・バンファ訳/かんき出版/2024)が既に邦訳出版されているチェ・イェウンの新作短編集が初登場で8位にランクインしました。注目の新刊では、すでに邦訳作品が多数刊行されているSF作家キム・チョヨプの新作や、人気のYouTubeを書籍化したホラー短編集などを取り上げています。

1位:『혼모노(本物)』

성해나(ソン・ヘナ)著/창비(チャンビ)刊/2025.3.28

『혼모노』
성해나

2位:『자몽살구클럽((チャモンサルグクラブ)(グレープフルーツアプリコットクラブ)』

한로로(ハンロロ)著/어센틱(オーセンティック)刊/2025.7.25

『자몽살구클럽』
한로로

3位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)

양귀자(梁貴子)著/쓰다(スダ)刊/2013.4.1

『모순(矛盾)』(ハードカバー)양귀자(梁貴子)著
『모순』
양귀자

4位:『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』

김애란(キム・エラン)著/문학동네(文学トンネ)刊/2025.6.20

『안녕이라 그랬어』
김애란

5位:『급류(急流)』

정대건(チョン・デゴン)著/민음사(民音社)刊/2022.12.22

『급류』정대건
『급류』
정대건

6位:『소년이 온다(少年が来る)』

한강(ハン・ガン)著/창비(チャンビ)刊/2014.5.19

『소년이 온다(少年が来る)』
『소년이 온다』
한강

7位:『채식주의자(菜食主義者)』

한강(ハン・ガン)著/창비(チャンビ)刊/2022.3.28

『채식주의자(菜食主義者)』
『채식주의자』
한강

8位:『치즈 이야기(チーズ物語)』

조예은(チョ・イェウン)著/문학동네(文学トンネ)刊/2025.7.30

『치즈 이야기』
조예은

新鋭のホラー作家による短編集で、記憶と腐敗を軸に家族の二面性を描いた表題作「チーズ物語」を含む計7編の物語が収められています。

9位:『첫 여름, 완주 | 듣는 소설 1(初夏、ワンジュ | 聞く小説 1)』

김금희(キム・グミ)著/무제(無題)刊/2025.5.8

『첫 여름, 완주 | 듣는 소설 1』
김금희

10位:『홍학의 자리(紅鶴の場所)』

정해연(チョン・へヨン)著/엘릭시르(エリクシル)刊/2021.7.26

『홍학의 자리』
정해연

注目の新刊

『양면의 조개껍데기(両面の貝殻)』

김초엽(キム・チョヨプ)著/래빗홀(ラビットホール)刊/2025.8.27

『양면의 조개껍데기』
김초엽

『惑星語書店』(カン・バンファ訳/早川書房/2025)など、すでに多数の邦訳が刊行されている著者による短編集です。表題作の「両面の貝殻」は、一つの身体に二つの人格を持つ「セルブン人」が、同じ人を愛したことで生じる葛藤が描かれています。SF的な設定を背景にしながらも、人間の感情や関係性に深く焦点を当てた、優しく、そして透明感のある物語です。

『올빼미의 없음(フクロウの不在)』

배수아(ペ・スア)著/창비(チャンビ)刊/2025.8.29

『올빼미의 없음』
배수아

硬くて抽象的な言葉選びと長くて難解な構文、詩的で夢幻的な文体で、孤高の存在として知られる作家、ぺ・スアの短編集。本作は2010年刊行の初版を再構成し、装いも新たにした改訂版です。詩的で哲学的な内容が作家特有の文体で綴られる物語は、明朗簡潔な作品展開よりも言葉の森を彷徨いながら文章自体を味わいたい読者におすすめです。日本語で読める著者の作品に『遠きにありて、ウルは遅れるだろう』(斉藤真理子訳/白水社/2023)があります。

『돌비공포라디오 더 레드(トルビホラーラジオ ザ レッド)』

돌비(トルビ)著/아르테(arte)刊/2025.7.23

『돌비공포라디오 더 레드』
돌비

累計再生回数10億回を突破した人気ホラー系YouTubeチャンネル〈トルビホラーラジオ〉が書籍化されました。本書は、1編あたり20ページ前後の短編を収めたオムニバス形式の短編集で、視聴者から寄せられた実体験をもとに、韓国の都市伝説や巫俗、社会の闇がリアルに描かれています。(文/高上由賀)

※この記事で紹介した書籍の購入は、「教保文庫、8月の月間ベストと注目の新刊(韓国小説)」の記事をご参照ください。

もっと知りたいハナタス
SHARE

韓国語講座を探すLesson