韓国の2週間の出来事をピックアップして紹介するコーナー。今回は、5月30日から6月12日までの出来事から、以下の三つのニュースをご紹介します。
韓国の放送各社が公式YouTubeで提供するニュース動画もぜひご覧ください!
李在明政権が発足
6月3日の大統領選挙で、49.42%の得票率で当選した이재명(李在明)候補。翌日の4日には、早速就任宣誓を行い、第21代大統領に就任しました。
その宣誓の中で、李大統領は自らの政権を「公正な통합(統合)政府、柔軟な실용(実用)政府、実用的な시장주의(市場主義)政府」と位置付け、役に立つのであれば、박정희(朴正熙)の政策であれ김대중(金大中)の政策であれ用いると述べました。
前政権時と異なり、国会でも多数を占め、安定した政権運営が可能な李在明政権。李大統領はこの日の昼食を、与野党代表とビビンバを食べることで分断した国内の統合とともに、多様な意見に耳を傾ける姿勢をアピールしました。
外交面では、米国の트럼프(トランプ)大統領、日本の이시바(石破)首相、中国の시진핑(習近平)国家主席と続けて電話会談し、石破首相とはカナダで開催されるG7サミットで初会談が行われる見通しです。また、習主席に対して경주(慶州)で開催されるAPECに招待する旨を伝え、윤석열(尹錫悦)政権で溝ができた韓中関係の修復を図ります。
また緊張関係が続く南北関係にも変化が見えます。11日には南北軍事境界線付近で行ってきた拡声器を使った対北朝鮮宣伝放送を約1年ぶりに中止し、北朝鮮にビラを散布する民間団体には中断を求めました。
そして、就任宣誓で「민생(民生)回復と経済再生から始める」と述べたとおり、閣僚、関係省庁で構成される「非常経済タスクフォース」を真っ先に立ち上げ、物価の安定や冷え込んだ経済を立て直すための補正予算の編成を急いでいます。
韓国発ミュージカルがトニー賞6冠に輝く
6月9日、米国ニューヨークで開催された第78回「토니상(トニー賞)」授賞式で、韓国発のミュージカル『어쩌면 해피엔딩(メイビー、ハッピーエンディング)』が作品賞、主演男優賞、演出賞など6部門を受賞しました。
トニー賞は、米国演劇界で最も権威のある賞といわれ、米国の約40のブロードウェイ劇場で、定められた期間に開演をした作品が対象となりますが、韓国で創作された作品が受賞するのは初めてのことです。
本作品は、近未来のソウルを舞台にヘルパーロボット2体のロマンスを描いたもので、脚本・作曲を윌 애런슨(ウィル・アロンソン)と박천휴(ヒュー・パーク)コンビが担当した作品です。2人は2008年にニューヨーク大学で出会って意気投合し、韓国で創作ミュージカルを作り始めます。
『メイビー、ハッピーエンディング』は2016年にソウル대학로(大学路)の小劇場で初演されて好評を博し、昨年11月からはニューヨークの収容人数1000人規模のベラスコ劇場で終演日を決めないオープンランの形で上演されています。
関連ニュース動画の中でヒュー・パークは、初演日前に行われる「プレビュー公演」の間の観客の入りが良くなく、すぐに終演になってしまうかと心配していたが、徐々に口コミが広がってチケットが売り切れるようになったと述べています。
外国人の国民健康保険が「黒字」に転換
外国人による国民健康保険の「무임승차(タダ乗り)」について、日本同様、一部の政治家やメディアから批判が起きていた韓国。特に、尹錫悦政権の期間にその矛先が向いたのが中国国籍者でした。
新型コロナウイルス感染症が猛威を奮い始める前の2017年から19年までの3年間で累積赤字が3600億ウォン(約360億円)に達したことから、中国から親戚を呼び寄せて国内で治療を受けさせているのではと「건보 먹튀(健康保険の食い逃げ)」批判が起きたのでした。
しかし、その状況に変化がありました。
6月9日、保守的野党국민의힘(国民の力)の서명옥(徐明玉)議員が、国民健康保険公団から提出された2022年から24年までの「外国人健康保険財政収支(保険料−給付)」を公開しました。
それによると、中国国籍者の「健康保険財政収支」は22年に229億ウォンの赤字だったのが、23年に27億ウォンの赤字にとどまり、24年には55億ウォンの黒字に転換したことがわかりました。
これは国民健康保険法の改正により、24年4月から、外国人は国内居住期間が6カ月以上ないと被扶養者の資格が得られなくなったことが大きな要因だと徐議員は見ています。
ちなみに、外国人全体の収支は、年々黒字幅が大きくなり、24年は9439億ウォン(約944億円)の黒字となりました。外国人は比較的若い層が多いことから、病院にかかる回数が少ないことが要因だと考えられます。
韓さんのニュース+α「大統領選就任演説で最く登場した単語は?」
1番目に取り上げたニュースに関するクイズです。李在明大統領の就任あいさつの中で、もっとも多く登場した単語は「국민(国民)」でした。2番目に多かったのは何でしょうか?
1외교(外交)
2민주주의(民主主義)
3성장(成長)
最も多かった「国民」が42回、2番目の「成長」は22回でした。3番目に多かったのが19回の「대한민국(大韓民国)」で、4番目は12回の「경제(経済)」と「문화(文化)」でした。「外交」は3回、「民主主義」は9回でした。
今回紹介した3つのニュース、いかがだったでしょうか? 紹介したニュース動画はいずれも2分前後のものです。聞き取り練習にぜひ生かしてみてください。