小説を原作に唯一無二の友人関係を描く映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』

多彩なジャンルの作品が翻訳され、日本でも多くの読者を得ている韓国発の小説。

82년생 김지영(パルシビニョンセン キムジヨン)(82年生まれ、キム・ジヨン)』(2019)や『한국이 싫어서(ハングギ シロソ)(ケナは韓国が嫌いで)』(2024)など、小説を原作とした映画も目立つ。

大学生活になじめなかったアウトサイダーたちの13年にわたる友情を見つめる『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』も、박상영(パク・サンヨン)の小説『대도시의 사랑법(テドシエ サランポプ)(大都会の愛し方)』を映像化した作品だ。

ドラマ版も作られた人気小説を映画化

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ゲイであることを周囲に隠したまま、大学の仏文科に通い始めた흥수(フンス)。

歓楽街で、ある男性とキスしているところを同級生재희(ジェヒ)に見られ、秘密があらわになってしまうのではと恐れるが、ジェヒは等身大のフンスを尊重。

自由奔放な行動で同級生たちから異端視されていたジェヒとフンスは意気投合し、毎夜、クラブで踊り、酒を飲み歩く親友同士となる。そんなある日、一人暮らしのジェヒの家を怪しい男がのぞき見ていることが判明。

母親との生活に気詰まりを感じていたフンスが、彼女の家に引っ越し、同居生活が始まる。

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小説家でゲイである主人公が自分の身の回りの出来事を書いたという設定の短編小説を集めた『大都会の愛し方』に収録されている一編「ジェヒ」を基に作られた本作。

이언희(イ・オニ)監督は、2人の友情やそれぞれの恋愛模様だけでなく、ジェヒの姿を通して、女性たちが大学や就職活動、職場で感じるさまざまな生きづらさも描き出している。

ちなみに韓国では昨年10月から、同じ小説を基にした全8話のドラマ版も配信。

こちらは原作者のパク・サンヨンが脚本を手掛け、『보통의 가족(ポトンエ カジョク)(満ち足りた家族)』(2024)の허진호(ホ・ジノ)、『새해전야(セヘジョニャ)(ニューイヤー・ブルース)』(2021)の홍지영(ホン・ジヨン)、『같은 속옷을 입는 두 여자(カトゥン ソゴスル イムヌン トゥ ヨジャ)(同じ下着を着るふたりの女)』(2022)の김세인(キム・セイン)といった映画監督たちが演出を担当している。

キム・ゴウンが自由奔放な主人公を好演

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映画で主人公ジェヒを演じているのは『파묘(パミョ)(破墓 パミョ)』(2024)で数々の主演女優賞に選ばれた김고은(キム・ゴウン)。

他人の視線を気にせず、恋愛、酒、勉強、全てに全力を注ぐ魅力的なキャラクターを、彼女らしい愛らしさで見せている。

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そんなジェヒの最高の相棒フンス役はアメリカのドラマ「Pachinko パチンコ」で注目された노상현(ノ・サンヒョン)。

自分自身を認めることができず、誰かを愛することにも臆病な青年を繊細に演じている。

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ジェヒの歴代彼氏役で「갯마을 차차차(ケンマウル チャチャチャ)(海街チャチャチャ)」の이상이(イ・サンイ)、「눈물의 여왕(ヌンムレ ヨワン)(涙の女王)」の곽동연(クァク・ドンヨン)、「이상한 변호사 우영우(イサンハン ピョノサ ウヨンウ)(ウ・ヨンウ弁護士は天才肌)」の주종혁(チュ・ジョンヒョク)らが登場するのも見ものだ。

心に残るせりふの数々

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また、ゲイであることをアウティングされるのではと心配するフンスへの「네가 너인 게 어떻게 네 약점이 될 수 있어(ニガ ノイン ゲ オットケ ニ ヤクチョミ トェル ス イッソ)(あんたがあんたであることが弱みになんかならないよ)」や、会社の飲み会で「女性1人だと夜道が危ない」という同僚に怒りを交えて言い返す「남자들이 일찍일찍 다녀야 여자들이 밤에 안전하지 않겠어요?(ナムジャドゥリ イルチギルチク タニョヤ ヨジャドゥリ パメ アンジョナジ アンケッソヨ)(男の人たちが早く帰るようになれば、女性が夜道を歩いても安全になるんじゃないですか?)」など、ジェヒが口にするストレートで痛快なせりふも心に残る。

原題:대도시의 사랑법
邦題:ラブ・イン・ザ・ビッグシティ
公開:(韓国)2024年10月1日/(日本)2025年6月13日(金)より全国ロードショー
配給:日活/KDDI
監督:イ・オニ
出演:キム・ゴウン、ノ・サンヒョン、イ・サンイ、クァク・ドンヨン

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