伊坂幸太郎の小説を基にした『골든슬럼버(ゴールデンスランバー)』(2018)や押井守原作のアニメーションを実写化した『인랑(人狼)』(2018)といった日本発のコンテンツを次々と映画化してきた韓国。
そんな中、自然豊かな小さな村で暮らす女性の1年を追った五十嵐大介のマンガの舞台を韓国に移した『リトル・フォレスト 春夏秋冬』は、旬のキャストたちが伸び伸びとした演技を見せる穏やかな物語だ。
美しい四季を1本の映画に凝縮

大学進学を機に故郷を離れ、ソウルで生活していた혜원(ヘウォン)。公務員試験で不合格となり、恋人とも距離ができてしまった彼女は、衝動的に帰郷。母と暮らした思い出の残る家で暮らし始める。
丁寧に作った食事を楽しみ、畑仕事に励む毎日を送るうち、彼女の中から都会では感じることのできなかった生きる喜びが湧き上がってくる。
日本では橋本愛主演の4部作として映画化されたマンガ『リトル・フォレスト』。
韓国版は冬から始まる1年を1本の中に全て織り込むため、クランクインとクランクアップを4度繰り返しながら撮影が行われた。
『교섭(極限境界線ー救出までの18日間ー)』(2023)などを手掛け、韓国を代表する女性監督として活躍してきた임순례(イム・スルレ)が、「ヘウォンと友人たちが過ごす特別な四季の流れに従っていけば、いつの間にか(見る人にも)少し休む余裕ができるのでは」という思いを込めて作り上げたという。

作品ごとに見る者を驚かすキム・テリ主演

料理のほか、まき割りから編み物まで、全てのことを一人でこなしながら生活を立て直していくヘウォン役は『아가씨(お嬢さん)』(2016)で鮮烈なスクリーンデビューを果たし、ドラマ『저녕이(ジョンニョン:スター誕生)』では、厳しい訓練の末に伝統音楽の판소리(パンソリ)を自ら歌い、百想芸術大賞のドラマ部門で女性最優秀演技賞に選ばれた김태리(キム・テリ)。
彼女の幼なじみ役で『올빼미(梟ーフクロウー)』(2022)の류준열(リュ・ジュニョル)が出演。また、高校卒業間近のヘウォンを残して家を出た母親役を『ジョンニョン:スター誕生』と同じく문소리(ムン・ソリ)が演じている。
主人公が作るおいしそうな料理の数々

原作や日本版と同じく、ヘウォンが作る数々の料理も見どころだ。
家に戻った日に米びつの底に残っていた米を炊いて食べるのを皮切りに、冬の수제비(スジェビ)、夏の콩국수(コングクス)といった韓国料理だけでなく、お好み焼きやクリームブリュレまで登場。
「삼시세끼(三食ごはん)」や「언니네 산지직송(オンニの産地直送)」といった料理バラエティー番組とも重なる、静かな暮らしがうらやましく見えてくる。

【公開】(韓国)2018 年2月28日/(日本)2019年5月17日
【監督】임순례(イム・スルレ)
【出演】김태리(キム・テリ)、류준열(リュ・ジュンヨル)、문소리(ムン・ソリ)、진기주(チン・ギジュ)
配信:Amazonプライム・ビデオ、U-NEXTほか
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