韓国で2025年４月16日に封切られ、「19歳未満観覧不可」というレイティングにもかかわらず300万人以上の観客を集めた『YADANG／ヤダン』。
韓国語や韓国の文化に関心の高いハナタス読者のみなさんのなかには、「야당（ヤダン）て、野党ってこと？ 政治の映画かな？」と思う人もいるかもしれない。はたして、どんな内容の作品なのだろうか。
特異な才能を見出され“ヤダン”となった男
広い人脈から集めた情報と話術を駆使して麻薬を扱う犯罪組織と警察の間を飛び回り、利益を得ているブローカー이강수（イ・ガンス）。
人々は彼のような男たちのことを“ヤダン”と呼んでいた。彼がこの世界に足を踏み入れたきっかけは、ある人物に陥れられ、麻薬取締法違反で逮捕されたこと。
刑務所内で野心家の検事구관희（ク・グァニ）に抜群の記憶力を見出され、彼の指示のもとで“ヤダン”として活動を始める。息の合ったパートナーとして活動していたふたりだが、ある麻薬パーティーの捜査をきっかけに決裂してしまう。
配信時代の観客を魅了したスピーディな展開
俳優としても活動する황병국（ファン・ビョングク）監督が、麻薬捜査隊の刑事などに取材を重ね、実際の状況を盛り込んで作り上げた今作。
“ヤダン”のガンス、検事グァニを中心に、麻薬組織の撲滅を目指す刑事오상재（オ・サンジェ）、大統領候補の息子で薬物中毒の조훈（チョ・フン）といった人物たちの思惑が絡み合い、関係性が二転三転するスピーディな展開が特徴だ。
ファン監督はあるインタビューで「最近の観客は映画館でもスマホを見ている」と語り、「『YADANG／ヤダン』を見ているあいだは絶対にそうさせないため、『セリフをなるべく早口で話してほしい』」と俳優たちに伝えたそうだ。
そんな思いを込めて完成した作品は観客たちに支持され、8月にはディレクターズ・カット版も公開された。
2025年大活躍のカン・ハヌル主演
監督の意図を体現し、運命に翻弄されていくガンスを躍動感のある演技で見せるのは강하늘（カン・ハヌル）。
25年は今作を含め、『스트리밍（殺人配信）』、『퍼스트 라이드（ファースト・ライド）』と３本の映画が劇場公開。さらにNetflix映画『84제곱미터（84㎡』）、ドラマ『오징어 게임（イカゲーム）』シーズン３、『당신의 맛（隠し味にはロマンス）』と、バラエティに富んだ出演作が一気に発表された。
ガンスを利用して検察の頂点を目指すク・グァニ役は、オカルトスリラー『파묘（破墓 パミョ）』（24）、犬をめぐるヒューマンドラマ『도그데이즈（DOG DAYS 君といつまでも）』（24）など、コメディからスリラーまで、多彩に活躍している유해진（ユ・ヘジン）。今作では自らの出世のため、ヤダン、警察、マスコミ、政界までも操ろうとする人物を不敵に見せている。
叩き上げの刑事サンジェ役は、大ヒット映画『서울의 봄（ソウルの春）』（23）で盧泰愚元大統領をモデルとする人物に扮した박해준（パク・ヘジュン）。
そのほか、父親の地位を利用して傍若無人にふるまうチョ・フン役でドラマ『미지의 서울（未知のソウル）』（20）の류경수（リュ・ギョンス）も出演。
また、『폭싹 속았수다（おつかれさま）』などのドラマで注目の김금순（キム・グムスン）が麻薬取引のキーパーソンとなる女性役で強烈な印象を残している。
はたして、最後に笑うのは誰なのか。見届けてほしい。
原題：야당
邦題：YADANG／ヤダン
公開：（韓国）2025年4月16日（日本）2026年1月9日
監督：ファン・ビョングク
出演：カン・ハヌル、ユ・ヘジン、パク・ヘジュン、リュ・ギョンス
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