※本記事は雑誌『韓国語学習ジャーナル hana』連載「Stage」掲載時の内容を転載したものです。掲載当時の情報に基づいており、最新の情報とは異なる場合があります。

今回おすすめするミュージカル「서편제(西便制)」。
私が2010年の初演から何度も見逃して後悔している作品です。
임권택(イム・グォンテク)監督の映画『서편제 (風の丘を越えて)』も有名ですが、原作は小説で、それをミュージカルにしたものです。
パンソリの歌い手である유봉 (ユボン)は養子である송화 (ソンファ)と동호 (ドンホ)を連れて全国を回るのですが、自分の母の死はユボンのせいだと思うドンホは、パンソリへの抵抗心からユボンを憎み離れます。ドンホがいなくなった後、パンソリの勉強に集中できずにいるソンファを、真の歌い手にするため、ユボンはソンファの視力を奪います。
何度もこの作品を見逃した私が、今年こそは見たいと思う理由は、この舞台に出演した차지연(チャ・ジヨン)と이자람(イ・チャラム)が歌う映像を何度も見て、この作品が好きになり、まるで作品を見たかのような感動を覚えたからです。
イ・チャラムの歌うパンソリは魂が感じられますし、チャ・ジヨンは、歌はもちろん、全身全霊で役と向き合う演技に圧倒されます。
また、劇中でソンファが歌う「살다 보면(生きてさえいれば)」という曲がすばらしいです。
그저 살다 보면 살아진다
ただ生きてさえいれば生きられる
그 말 무슨 뜻인지는 몰라도
その言葉、どういう意味か分からないけど
기분이 좋아지는 주문 같아
気分が良くなる呪文みたい
너도 해 봐
おまえも言ってごらん
눈을 감고 중얼거려
目を閉じてつぶやいて
그저 살다 보면 살아진다
ただ生きてさえいれば生きられる
그저 살다 보면 살아진다
ただ生きてさえいれば生きられる
悲しみの中でも強く生きるソンファの姿を思うと、それをチャ・ジヨンが歌う姿を思うと、それだけで涙が出てきそうです。
それに、今年の西便制の広告の言葉
「세상은 희생이라 했고 그녀는 인생이라 했다.」
「世の中は犠牲だといい、彼女は人生だと言った」
とてもすてきですよね。
アーティストソンファの人生だけではなく、登場人物の人生に自分の人生を重ね、家族を思い、夢を思い、そして共感できる作品だと思います。
【公演期間】2017年8月30日(水)~11月5日(日)
【場所】クァンリム・アートセンターBBCHホール
【キャスト】 이자람(イ・ジャラム)、차지연(チャ・ジヨン)、이소연(イ・ソヨン)他

