韓国語を学んでいると、文法や表現、文化の違いなど、ちょっとした疑問が次々と出てきますよね。このコーナーでは、学習者の皆さんから寄せられた質問に、編集部が丁寧にお答えします。
今日の質問:地名の선릉(宣陵)はどう発音するの?
タクシーで선릉に行くのに[설릉]と発音して伝えたところ、運転手さんからその地名は[선능]だと直されました。駅のローマ字表示は「Seolleung」となっていますし、標準的な発音は[설릉]なのではないのでしょうか?

연락とかも[열락]って言うし、元の表記と読み方が違う単語があるよね。
ソウル南部、地下鉄2号線の駅でおなじみの선릉ですね。
선릉は、標準発音に従うと、流音化した[설릉]が正しく、電車のアナウンスも実際にそのように発音しています。
ただ、80年代に선릉に住んでいた人によると、当時はみんな[선능]と発音していて、電車のアナウンスも以前は[선능]だったとの証言もあり、その運転手さんも発音を[선능]と認識していたのでしょう。
そもそも、なぜこのようなことが起きるのでしょうか。韓国語の発音規則では、ㄴの後ろにㄹが続くとほとんどは流音化が起こりますが、ㄴとㄹの間に「切れ目」が存在すると話者が感じた場合は逆に後ろの要素のㄹがㄴに鼻音化します。
例えば구인란(求人欄)や생산력(生産力)のような単語の場合、「求人-欄」「生産-力」のように切れ目が感じられるため、[구일란][생살력]とは発音されず、[구인난][생산녁]のように発音されます。
他に、北朝鮮との国境近くの駅신탄리(新炭里)は、[신탄니]になるなど、「里(=日本語の村に当たる語)」の付く地名にもこの法則が適用されます。
さて、선릉という地名には、王の墓を表す릉(능=陵)という語が含まれています(頭音法則により릉は語頭では능となります)。標準語ではこの릉の前に「切れ目」があるとは見なさないため発音は[설릉]になりますが、今でも切れ目を感じて[선능]と発音する人はいるかもしれません。


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