現場の先生に聞いてみた!先生が推す韓国語学習法 第4回:小島大輝先生 日常を“韓国の生活”に近づける「韓国語で生活作戦」

今回お話を伺ったのは、大学で研究・教育に携わる一方、NHKラジオ『まいにちハングル講座』でも講師を務める 小島大輝先生です。

小島大輝先生推しの韓国語学習法

ズバリ、先生が推す学習法は——

💬 日常を“韓国の生活”に近づける「韓国語で生活作戦」です

韓国語の上達には、「環境づくり」が効く?

小島先生が自身の韓国語力の伸びを強く実感したのは、大学生の頃、1カ月間韓国で生活したときだったといいます。

街を歩けば耳に入ってくる韓国語、テレビをつければ当たり前のように流れる韓国語……。さらには下宿先でのちょっとしたトラブル対応や、手続き・交渉ごとなど、「韓国語ができなければ困る!」という状況が続く—。
そんな体験が、結果的に語学力を押し上げた実感があるそうです。

とはいえ、日本に住んでいると同じ状況を作るのは難しいもの。
そこで小島先生が提案してくれたのが、日常を“韓国の生活”に近づける「韓国語で生活作戦」です。

① 部屋の中を“韓国語化”してみる

まずは 身の回りのモノをすべて韓国語で言ってみる ことから。

  • 机 → 책상
  • 椅子 → 의자
  • 本 → 책
    など、単語レベルでOK!

さらに、ここからは3つのステップで練習してみましょう。

▶ STEP1:単語レベルで韓国語にしてみる

例)机→책상、椅子→의자、本→책

▶ STEP2:思いつくままに簡単な文をつくる

例)의자에 앉아요.(椅子に座ります)

▶ STEP3:(不自然でも無理やり)独り言に発展させる

例)의자에 앉아서 책이나 읽어 볼까?
(椅子に座って本でも読んでみようかな)

単語を“文”にしてみると、助詞や語尾、どんな動詞を組み合わせるかを考える必要が出てきます。
単語だけなら言えるのに、文にしようとした瞬間に言葉が出てこない——そんな経験はありませんか?
実はその “言えそうで言えない” ところに、上達のヒントが隠れています。

たとえば、玄関・台所・洗面所・風呂場など、家の中にある物(名詞)は言えても、それを韓国語でにしようとすると、

  • 助詞はどうする?
  • どの動詞を使うのが自然?
  • そもそも動詞が浮かばない……

ということがよくあります。
커튼을 치다(カーテンを閉める)/세탁기를 돌리다(洗濯機を回す)
のように“名詞+動詞”のセットは案外難しいものです。

だからこそ、思いついた単語を文にしてみる・声に出してみることが大切。
不自然でも構いません。文にしてみる練習を繰り返すことで、助詞・語尾・動詞の自然な組み合わせが少しずつ身についていきます。

小島大輝先生

思いついた単語を文にしてみる・声に出してみることが大切!

② 1日のスケジュールを韓国語で書く

次におすすめなのは、起床から就寝までの行動を韓国語で書き出すこと

  • 詳細に時系列を書く
  • カレンダーに予定を軽く書き込む

どちらでもOK。

自分の生活を韓国語で表すことで、意外に知らない単語に出会えることがよくあります。

▶ 日記もおすすめ

寝る前の5分だけでも、その日の出来事を韓国語で振り返る。
「書く」力の地道な積み重ねになります。

短い文であっても組み立てに必要なパーツである助詞や語尾の使い方の再確認にもなります。

③ スマホ・読書・ドラマで“生活の中の韓国語”を増やす

  • スマホの言語環境を韓国語に
  • 好きな作家の本を1日1ページ読む
  • ドラマのセリフを聴き取る
  • 歌詞を耳コピしてみる

など、日常の延長で“韓国語を浴びる時間”を増やすのも立派なトレーニング。

「読む」「聴く」を生活の中で自然に行えるようになります。

④ 「話す」は相手を見つけるところから

話す練習には相手が必要です。
小島先生は学生の頃、韓国のペンパルとSkypeで時間を決めて通話していたそう。

同年代の友人との会話は気軽で、やがて自然とパンマルに。
短時間でも継続すると、

  • 母語話者の話し方に耳が慣れる
  • 話せる量が少しずつ増える
  • チャットでハングルキーボードの配列に自然と慣れる

といった効果を実感したと言います。

韓国旅行の際には、その友人と一緒にチムジルバン(찜질방)へ行ったり、屋台で食事をしたりと、現地の生活に触れる経験が語学力にもプラスに。

最近は、言語交換アプリなどで語学パートナーを見つけやすい時代
小島先生の教え子たちも、アプリを活用して気軽に日韓交流を楽しんでいるそうです。

⑤「韓国語で生活作戦」で得られる“ちょっと上達したかも”体験

韓国語にどっぷり浸るようになると……

  • とっさに韓国語で返事していた
  • 夢の中で韓国語を話していた

そんな瞬間が訪れることも。

小島先生自身も、こうした“上達の小さなサイン”を経験したと言います。
日常の中に韓国語を取り込むことで、学習というより、韓国語が生活の一部に変わっていくのかもしれません。

最後に

日常を韓国語の環境に少しずつ近づけていく「韓国語で生活作戦」は、特別な準備がいらず、どんなレベルの学習者でも始められる方法です。小島先生が伝えたかったポイントをあらためて整理すると、次の4つになります。

  • 単語だけでなく、文として使ってみることが大事
    単語(名詞)は言えても、助詞や動詞が思い浮かばないことはよくあります。だからこそ、思いついた言葉を文にして声に出すことで、自然な組み合わせが身についていきます。
  • 自分の生活を韓国語で“表してみる”習慣をつくる
    部屋の物や日々の行動を韓国語で書いたり声に出したりすることで、知らなかった語彙や表現に出会えて、文を組み立てる力も育ちます。
  • 自然に韓国語が目や耳に入る環境を少しずつつくる
    スマホ設定、読書、ドラマ、音楽など、普段の生活の延長で韓国語に触れられる時間を増やすことで、「読む」「聴く」が無理なく習慣になります。
  • 誰かと言葉を交わすことで、“使える韓国語”が育つ
    語学パートナーや友人との会話は、短時間でも効果的。話す量が増え、母語話者のリズムに耳が慣れていく実感が得られます。

日常の中でできる小さな工夫が、気づけば大きな力に変わっていきます。
今日からできそうなことを一つ、ぜひ試してみてくださいね。

tonsokuco07 とんそく子

私も勉強は “環境” が大事だと思っています!
机の上を片づけたり、新しいペンに替えるだけでも、「ちょっと勉強しようかな」という気持ちになりますよね。

そして私も、毎日お風呂でその日の出来事を韓国語で整理するのが習慣になっています。
「그때 내가 해 준다고 할걸…」
「사장님한테 그 자료 드렸나 모르겠네」
など、思い出しながらブツブツ独り言を言うだけでも、意外といい練習になるんです。
日常のちょっとした時間に韓国語を混ぜるだけで、気づけば“使える韓国語”が増えていく気がします。

講師プロフィール

小島大輝(こじま だいき)

近畿大学 文芸学部 教養・基礎教育部門 准教授

82年生まれ、滋賀出身。同志社大学在学中に韓国語を学び、「この言語はもっと日本人に伝えたほうがいい」と思ったことが教師を目指すきっかけとなった。「教師になるなら韓国語をもっと知らなければ」と延世大学大学院に留学し、紆余曲折を経て今は近畿大学で韓国語教育に携わる。現在の職場に移ったときから育てているコーヒーの木はなかなか花が咲かないが、語学と同じく時間をかけて育てていればいつか開花するはず、と言い聞かせる日々。
もっと知りたいハナタス
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