女優たちの演技が光る映画『세자매(三姉妹—Three Sisters—)』

アクションやサスペンスといったジャンルの映画が得意な韓国。

そのため、映画に登場するキャラクターたちを見ても男性の割合が多く、女性たちが実力を発揮できる作品はまだまだ少ない。

そんな中にあって、キャリアも個性も違う3人の女優たちが見応えのある演技を見せる『세자매(セジャメ)(三姉妹—Three Sisters—)』は、とても貴重な作品だ。

疎遠になってしまった三姉妹の日常を描く

©2020 Studio Up. All rights reserved.

地方の実家を離れた後、生活に追われ、疎遠となってしまっている三姉妹。

しっかり者の次女미연(ミヨン)は、高級マンションに新居を構え、幸せいっぱいに暮らしているように見せているが、彼女が熱心に通う教会の仲間と夫の間にただならぬ気配を感じていた。

生花店を営む長女の희숙(ヒスク)は、重病を患っていることに気付いたものの、反抗的な態度を見せている娘には打ち明けられない。

劇作家として名を成したい三女の미옥(ミオク)も、酒浸りの日々が続いていた。

そんなある日、父の誕生日を祝うため、三姉妹は久しぶりに帰郷する。

俳優ムン・ソリはプロデューサーも兼任

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次女ミヨン役は、プロデューサーとしても名を連ねている문소리。

大学で演出を学び、短編映画を監督するなど、「女性」「俳優」という枠を少しずつ広げるような活動を続けてきた彼女は、釜山国際映画祭で出会った이승원(イ・スンウォン)監督から今作のシナリオを渡され、出演を決意。

完璧に見えていたミヨンの日常が少しずつ崩れていく様子を、持ち前のユーモアを交えながら細やかに演じ、青龍映画賞と韓国映画評論家協会賞で主演女優賞に選ばれた。

話題の最新ドラマ『폭싹 속았수다(プクサク ソガッスダ)(おつかれさま)』では、60年代から現代にかけて、苦労を重ねながら生きてきた主人公の後半生を感情豊かに見せた。

女性たちの等身大の悩みが胸に迫る

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一方、家族に対しても本音を隠し、心身を痛めつけながら生きる長女ヒスク役は監督の妻でもある김선영(キム・ソニョン)。

ドラマ「사랑의 불시착(サランエ プルシチャク)(愛の不時着)』(2019)の人民班長役をきっかけに人気俳優となった彼女が他の作品とは一味違う、悲痛な人物になり切り、青龍映画賞、韓国映画評論家協会賞に加え、百想芸術大賞の映画部門でも助演女優賞を受賞した。

さらに、年上の夫と暮らす三女ミオクには、トップモデル出身で、ドラマ『눈물의 여왕(ヌンムレ ヨワン)(涙の女王)』(2024)でもコミカルな演技が光った장윤주(チャン・ユンジュ)が扮している。

既婚の女性たちの姿を「誰かの妻」あるいは「誰かの母」ではなく、彼女たち自身の過去と現在に重点が置いて見つめる今作。

そのひとりひとりの事情が胸に迫ってくる。

公開:(韓国)2021年1月27日、(日本)2022年6月17日
監督:이승원(イ・スンウォン)
出演: 문소리(ムン・ソリ)、김선영(キム・ソニョン)、장윤주(チャン・ユンジュ)、조한철(チョ・ハンチョル)
配信:Amazonプライム・ビデオ、U-NEXTほか
※最新の配信状況は各サービスにてご確認ください

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