現場の先生に聞いてみた!先生が推す韓国語学習法  第2回:柳春美先生「音読~声に出すことで、韓国語が自分の言葉になる~」

今回お話を伺ったのは、世宗学堂で韓国語を教えていらっしゃる柳春美(ユ・チュンミ)先生です。

柳春美先生推しの韓国語学習法

ズバリ、先生が推す学習法は——

💬 「音読です」

柳春美先生

音読とは、目で読んだ文章を声に出して読むこと。

一見シンプルな方法に思えるかもしれませんが、学習効果はとても高いと私は感じています。

「読む・話す・聞く」が同時に鍛えられる

言語学習において大切なのは、「理解の領域(読む・聞く)」と「表現の領域(書く・話す)」のバランスです。

音読は、その両方を自然にカバーできる、とても効率のよい学習法です。

文字を目で追いながら(読む)、声に出し(話す)、その音を自分の耳で(聞く)。この一連の動作が自然に行われるのが音読です。

音声が耳から入ることで、脳への定着も深まりやすくなります。

実際、ただ目で追う黙読と比べて、記憶の定着率はぐっと高まります。読み飛ばしていた語彙や文法も、声に出すことでしっかり意識できるようになります。

自分の声を受け入れるというハードル

音読をすすめると、多くの学習者が最初に戸惑うのが「自分の声を聞くこと」です。

録音した自分の発音を聞いて、「これが本当に自分の声?」と驚いたり、がっかりしてしまう方も少なくありません。「こんな発音だったなんて……」と落ち込んだり、「ネイティブのように話したい」という理想と現実のギャップにショックを受ける方も多くいます。

ですが、この「がっかり」を乗り越えることこそ、上達の第一歩です。

自分の韓国語を客観的に聞いて、冷静に見つめること。そこから初めて、改善の方向が見えてきます。

言語は「真似ること」から始まる

言語習得の基本は、「真似ること」だと思っています。

意味が完全に理解できていなくても、まずは聞いたとおりに声に出してみる。繰り返していくうちに、文のリズムや語順が体に染み込んでいきます。

聞いた音をそのまま真似るうちに、自然と語順や文法の感覚も身についていきます。

文章を丸暗記して話すのは簡単なことではありません。でも、音読を習慣にすれば、自然と“文章の形”が口から出るようになってきます。

これが、いわゆる「話せるようになる」ための土台になります。

音読の進め方

音読を効果的に行うには、いくつかのステップを意識するとよいでしょう。以下に、私がおすすめしている方法をご紹介します。

1.まずは音声だけを聞く

CDやアプリなどの音声を、文字を見ずに2〜3回聞いてみましょう。

聞き慣れてくると、単語や文の構造が少しずつ耳に入ってきます。

2. 文字を見ながら音声を聞く

文字を見ながら音声を聞くことで、内容理解が深まります。

もし時間があれば、事前に知らない語彙を調べておくと、さらにスムーズです。

3.シャドーイングする

音声をまねして声に出す段階です。発音だけでなく、イントネーションやリズムも丁寧にまねしてください。

この「シャドーイング」をすることが最も重要です。

「まねの正確さ」が、通じる韓国語を身につけるカギになります。ネイティブの音に近づけるつもりで、ていねいに。

4.10回以上繰り返す

回数にこだわる必要はありませんが、やはり繰り返すことで自然さが増していきます。

10回ほど声に出して読む頃には、自分でも変化を感じられるはずです。

5. 自分の声を録音する

最後に、自分の音読を録音して聞いてみましょう。

最初は違和感があるかもしれませんが、気持ちをフラットにして、自分の声を客観的に聞くことを心がけてみてください。

何度か録音していくうちに、自分の成長がはっきりと見えてきます。

学習者とのやりとり(1)

音読を続ける上で気をつけてほしいこと

これまで多くの学習者と音読に取り組んできた中で、うまくいく方・そうでない方の違いには共通点がありました。

・速さより「正確さ」

音読の効果を下げてしまう原因のひとつが「とにかく早く読む」こと。

スピードに気を取られると、発音が不正確になりがちです。

まずはゆっくり、丁寧に読むことを心がけてください。

・「聞いてから読む」が基本

十分に音声を聞かずに音読を始めてしまうと、間違った発音やリズムをそのまま覚えてしまうことがあります。

不安なときは、音声に戻って確認しましょう。

・音読は習慣がカギ

1日1分でも構いません。

「朝の準備の前に1ページだけ」「寝る前に1文だけ」など、無理なく続けられる習慣を作ってみてください。

学習者とのやりとり(2)

最後に

子どもが言葉を覚えるとき、何度も何度も同じ言葉を繰り返しますよね。学習者も、まるでそんな子どものような気持ちになって、口にしみ込むまで何度も繰り返すことが大切です。

この音読を、できるだけ毎日、そして少なくとも1年間は継続してみてください。

そうすれば、きっと韓国語に対する自信が育ち、「もっと声に出して読んでみたい」という気持ちも自然と湧いてくるはずです。

そしてきっと、韓国語が自分のものになっていると感じられるでしょう。

tonsokuco04 とんそく子

今回のお話、もう「うんうん、そうなんです!」とうなずきながら伺いました。
というのも、私自身、音読をよくするタイプなので、先生の言っていることが本当によく分かるんです。

声に出すことで韓国語の語順やリズムが自然と体にしみ込んでいく感じ、ありますよね。
そして、何より自分の声を録音して聞いてみることで、「あ、ここちょっと違うな」って気づける瞬間も多いです。

音読がまだ習慣になっていない方にも、ぜひ試してみてほしいです!

次回も、先生ならではのリアルな学びのヒントをお届けします。お楽しみに!

講師プロフィール

柳春美(ユ・チュンミ)

韓国語講師

韓国・麗水(ヨス)出身。韓国の大学で中国文学を専攻し、卒業後は一般企業に勤務。1994年、韓中の国交正常化を機に中国・北京へ留学し、2年間滞在。その後、日本との縁が生まれ、1996年に来日。 1999年に韓国語教育への関心を深め、本格的に学び始める。2006年より日本国内で非常勤講師として韓国語教育に従事。目白大学大学院 韓国言語文化研究科修了。現在、駐日韓国文化院 世宗学堂、日本薬科大学、埼玉県立春日部女子高校、越谷南高校にて特別非常勤講師を務めている。 学ぶことを何よりの喜びとし、現在は韓国のサイバー大学で3校目の学びに挑戦中。韓国語の原書を読む「マジュンムル韓国読書会」の代表も務め、日本文化に関する書籍シリーズの執筆にも参加している。

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