【韓国の小説】2026年7月月間ベストセラー&新刊情報

教保文庫の2026年7月の月間ベスト10および注目の新刊(韓国小説)をご紹介します。『달러구트 꿈 백화점(ドルグート夢百貨店)(邦訳作品:夢売る百貨店 本日も完売御礼でございます)』や韓国オカルト文学の代表作『퇴마록(退魔録)』など、話題のシリーズの新刊が続々と刊行され、早くもランクインしました。また、『혼모노(ホンモノ)』が発売から1年以上上位をキープしているソン・ヘナの新作も初登場で9位に入り、期待の高さがうかがえます。注目の新刊・近刊では、近年ブームの兆しを見せているオカルト小説や、韓国財閥史を背景にした重厚なミステリーなどを取り上げています。

※ランキング記事ではハングルのルビを省略します。

1位:『수족관(水族館)』

유래혁 (ユ・レヒョク)著/포스터샵(ポスターショップ)刊/2024.1.11

『수족관』
유래혁

2位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)

양귀자(梁貴子)著/쓰다(スダ)刊/2013.4.1

『모순(矛盾)』(ハードカバー)양귀자(梁貴子)著
『모순』
양귀자

3位:『자몽살구클럽((チャモンサルグクラブ)(グレープフルーツアプリコットクラブ)』

한로로(ハンロロ)著/어센틱(オーセンティック)刊/2025.7.25

『자몽살구클럽』
한로로

4位:『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』

김애란(キム・エラン)著/문학동네(文学トンネ)刊/2025.6.20

『안녕이라 그랬어』
김애란

5位:『달러구트 꿈 백화점 0 – 달러구트와 양치기 소년 이야기(ドルグート夢百貨店 0―ドルグートと羊飼いの少年の物語)』

이미예(イ・ミイェ)著/팩토리나인(ファクトリーナイン)刊/2026.7.1

『달러구트 꿈 백화점 0 – 달러구트와 양치기 소년 이야기』
이미예

『夢を売る百貨店 本日も完売御礼でございます』(鈴木沙織訳/文響社/2022)シリーズの原点となる物語。ついに明かされる「ドルグート夢百貨店」の過去と、胸を締めつけるような秘密の物語。

6位:『급류(急流)』

정대건(チョン・デゴン)著/민음사(民音社)刊/2022.12.22

『급류』정대건
『급류』
정대건

7位:『신 퇴마록 신세편 1(新・退魔録 新世編1)』

이우혁(イ・ウヒョク)著/반타(バンタ)刊/2026.6.23

『신 퇴마록 신세편 1』
이우혁

累計販売数1000万部を記録した韓国オカルト文学の代表作『退魔録』の新たな章が幕を開けました。今回刊行の「新世編」(全3巻)に今後「末世編」(3巻)と「創世編」(4巻)が続き、全10巻で完結する作品です。前作同様、邪悪な幽霊や魔術から人々を救う退魔師の物語ですが、本作は前作の世界観を受け継ぎつつも独立したストーリーで、旧作を読んでいない読者でも楽しめる内容となっています。

8位:『혼모노(本物)』

성해나(ソン・ヘナ)著/창비(チャンビ)刊/2025.3.28

『혼모노』
성해나

9位:『인비인(人非人―ソン・ヘナ奇譚集)』

성해나(ソン・ヘナ)ほか著/한겨레출판(ハンギョレ出版)刊/2026.6.19

『인비인』
성해나

9つの物語からなる奇譚集です。1944年、靖国神社で開催された文章大会の賞品としてもらった机が100年後の子孫の書斎に置かれ(「桜の木で作られた五尺幅の机」)、ハルビンの731部隊の実験室では目も耳もない灰色の塊が生まれ(「人非人」)、競売にかけられた他人の人生を買い(「買日」)、アンドロイド医師が普及した未来で人間の医師がアンドロイドに毒薬を作らせる(「蠱(こ)」)。奇妙で不気味な気配がひやりと背を伝い、本当に怖いのは何かを問いかけます。

10位:『절창(切創)』

구병모(ク・ビョンモ)著/문학동네(文学トンネ)刊/2025.9.17

『절창』
구병모

注目の新刊

『주와 연(呪と縁)』

청예(チョン・イェ)著/래빗홀(ラビットホール)刊/2026.6.24

『주와 연』
청예

父の不貞によって家庭が崩壊したジュヒは、父への復讐を果たすため、「おふだ」の力を使って継母と父の娘ヨンリンとして転生する。前世の記憶を抱えたまま歩む二度目の人生で周到に復讐を進めるジュヒ。そんな彼女の前に、自分と似た傷を抱える少女ウンジョンが現れる。復讐と愛という王道のテーマですが、韓国特有のシャーマニズムが合わさることで日本の読者には異国的な雰囲気が感じられる作品です。

『빵충 사육 준수 사항(パン虫飼育についての遵守事項)』

김혜영(キム・ヘヨン)著/안전가옥(安全家屋)刊/2026.7.22

『빵충 사육 준수 사항』
김혜영

無名のトランペッターだった主人公は借金に追われ、苺農家に転身するも失敗。どん底のさなかに訪れた最後のチャンスは、食用虫「パン虫」の飼育事業だった。小麦ゼロかつ高たんぱくの「パン虫」はデザートブームに乗り、主人公は一躍高額所得者へと駆け上がるが――。2026年6月のソウル国際ブックフェアにて先行販売され、初版が会場で完売するほど注目を集めた作品です。

『지푸라기 왕관을 쓴 여자(藁の冠をかぶった女)』

박상영(パク・サンヨン)著/래빗홀(ラビットホール)刊/2026.7.22

『지푸라기 왕관을 쓴 여자』
박상영

映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』の原作小説『大都市の愛し方』(オ・ヨンア訳/亜紀書房/2020)の著者による新作長編ミステリー。横浜で暮らす在日コリアンのハナは、母サチコが火災で重傷を負ったという知らせを受ける。かけつけた病院で母が最期に「セイル百貨店のユン・ドンジュ会長を訪ねなさい」と言い残す。その瞬間、ハナは日本へ移住する直前、10歳の頃にソウルで経験したもう一つの火事を思い出し、今回の火災が単なる事故ではないと直感する。過去70年の韓国財閥史を背景に、巨大財閥と家族の因縁が複雑に絡み合う物語。韓国ドラマ好きの方におすすめしたい一冊です。

『태양 아래 올리브(太陽の下のオリーブ)』

김초엽(キム・チョヨプ)著/자이언트북스(ジャイアントブックス)刊/2026.8.3

『태양 아래 올리브』
김초엽

神を信じる修道女と現実主義の科学系ユーチューバ―。一見、正反対の二人がひょんなことから共に旅に出る。賢く、暖かく、そして危険な物語。『地球の果ての温室で』、『派遣者たち』(いずれもカン・バンファ訳/早川書房)に続く、キム・チョヨプ三作目の長編SF小説です。(文/高上由賀)

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