接続形の語尾-아/어서は入門・初級の文法事項の代表例で、これについて解説していない入門書はないと言ってもよいぐらいですが、実はこの語尾には学習書があまり触れない用法があります。
それがずばり、-아/어서の前に過去の-았/었-が付いた-았/었어서という形です。ここでは分かりやすく하다を使って했어서と代表させましょう。
했어서について学習書がもし触れるとすれば、それは「했어서という形は誤用」という書き方になります。
標準的な文法からすれば、했어서という形は間違いなのです。これは学習者にとっては大切なことです。
しかしたとえ標準的には間違いとはいえ、母語話者、特に若い世代の韓国語には、すでに無視できないほど했어서という形があふれています。
使い方としては「~するので、~くて」という理由を表す用法のとき、それが過去のことを表すときに해서ではなく했어서が使われます。
標準的な文法では、現在でも過去でも、해서という形を使わなければいけません。

この文は、標準的な形では너무 추워서 집에 갔어요.としないといけません。
もしどうしても「寒かった」という過去のことを表したいのであれば(例えば話している時点では気温が上がっていて暖かい場合など)、추웠으니까など別の語尾を使って表現するしかありませんでした。
ところが近年になって、上のような했어서の形が徐々に広まり始めました。形容詞だけでなく、動詞でも以下のような使い方があります。

そもそも、なぜ-아/어서の前に-았/었-を使うことができないとされているのか。それは語尾の語源に原因があります。
-아/어서と-았/었다は、成立の時期に違いはありますが共に-아/어 있다 (~している、~してある)という形式が変化して生まれた語尾で、もともと意味が重複していたのです。
해서という形には「~してあって」という完了の意味合いまで含まれていたため、 많이 먹어서と言っただけで「すでに食べた」ということまで表せていました。
しかし、近年になってより明確に完了を表そうとする動きが強まり、 추웠어서、 먹었어서などの形が出現してきたということが言えます。
この形は今後ますます拡大し、定着することが予想されます。
実は日本語でも関西などでは、形容詞の場合に限り「~かって」という形が近年新たに生まれ、広まっています。
この点は、韓国語で했어서という形が新たに広まっているのとよく似ています。
例えば、 추워서と추웠어서の区別は、共通日本語ではどちらも「寒くて」となりますが、関西では「寒くて」と「寒かって」という形で翻訳が可能です。
地域限定であれ、このような現象が日韓どちらでも起きているというのは興味深いことと言えます。


