「현주 다이어리」#001〜#007|日本語訳と翻訳ノート

8月15日から始まった「현주 다이어리(ヒョンジュダイアリー)」。

日記を書くのは、韓国語講師の承賢珠(スン・ヒョンジュ)先生。

承賢珠(スン・ヒョンジュ)

日本で暮らす中で感じたことを、短い韓国語でつづる日記です。

Xでは月・水・金に韓国語の原文を公開しています。まずは韓国語のまま読んで、どんなことが書かれているのか想像してみる。気になった言葉を調べてみる。自分なりに訳してみる。

そして約2週間ごとに、翻訳者・小山内園子さんによる日本語訳をhana+でまとめて公開します。

今回は、8月15日から28日までに公開した #001〜#007 の日本語訳をお届けします。

さらに、翻訳する中で気になった言葉や、原文を書いた承賢珠さんとのやり取りも「翻訳ノート」としてご紹介します。

すでに韓国語で読んでくださった方は、自分が思い描いた内容と比べながら、今日初めて知った方は、ぜひ日本語訳を見る前に、韓国語の原文から読んでみてください。

→「현주 다이어리」についてはこちら

현주 다이어리 #001 광복절(2026年8月15日の日記)

三千萬(삼천만)의覚悟(각오)와決意(결의)도새롭게八一五勝利(팔일오승리)와觧放(해방)의첫돌마지

1946년 8월15일 조선일보 첫째 면 기사 제목이다.
팔일오승리와…음…승리인가?
첫돌마지, 마지? まじ?ㅎㅎㅎ

2026년 현재 인구는 ‘삼천만’에서 ‘오천만’이 됐고
‘팔일오승리’는 ‘주권을 되찾았다’는 표현으로 바뀌었고
‘돌마지’는 지금 아무도 마지라고 쓰지 않는다.
그냥 그렇다고.
독립을 되찾고, 주권을 되찾고, 해방된 것을 축하하며
2026년 광복절을 기념해 본다.

小山内園子さんの日本語訳
三千萬の覺悟と決意も新たに 八・一五勝利と解放一周年を迎へて

1946年8月15日付朝鮮日報1面の記事の見出しだ。
八・一五勝利と……うーん……勝利だっけ?
迎へて(첫돌마지)へて(마지)? マジ? ぷぷぷ

2026年現在、人口は「三千萬」から「五千万」となり、
「八・一五勝利」は「主権を取り戻した」という表現に変わり、
迎へて(첫돌마지)」は今、誰も「へて(마지)」と書かない。
ただ、それだけのこと。
独立を取り戻し、主権を取り戻し、解放されたことを祝って
2026年の光復節を記念してみる。
翻訳ノート
うわ、これは翻訳者泣かせ(笑)

ハングルの表記の部分での違いに時の流れを表現している文章ですが、これを日本語にしてしまうと、原文の「첫돌마지, 마지? まじ?ㅎㅎㅎ」という感覚を、読む人が追体験できなくなってしまいます。
そこでむっちゃ考えて、方針を立てました。

①1946年当時、日本は占領下であり、おそらく旧仮名遣いが支配的だったはず。
そこを調べて反映させ、ハングルを読めない人にも日本語だけで先生の文章の意図(その時代時代でかわっていく社会の価値観の変遷、時の流れ)がわかるようにする。

②韓国語を学んでいる人はハングルを読めるぶん、いっそう先生の文章をあじわえるはず。だから、どこかに必ずハングルは残すべし。
方針を立てて、検証に入りました。1946年段階の新聞の訳出として、旧仮名遣いにしても問題はないかの確認です。
まず韓国の場合、実は意外と早く、1933年に「한글 맞춤법 통일안(ハングル綴字法統一案)」が採用されて正書法が定められています。にもかかわらず、メディアの記事にはあまり反映されませんでした。1946年当時はまだまだ갓치(같이)、업슴(없음)、잇슴(있음)あたりがばしばし見られます。

1948年の韓国政府成立以降から定着しはじめ(確かに、国の置かれている状況を考えれば正書法どころじゃないですよね……)、1988年に文教部が現在の「한글 맞춤법」(正書法)を定めて、現在の表記が定着します。
一方日本は、敗戦から1年後の1946年11月に「現代かなづかい」が内閣告示されて、現在の仮名遣いが浸透していきます。したがって、1946年8月15日の日本の新聞も、韓国の新聞同様に古い表記が一般的でした。
なので、あえて旧仮名遣いで訳しても整合性はとれることになります。①の方針で進めることにしました。
続いて②の、どこかにハングルを残す、ということですが、あくまで訳者の判断なので、できるのはルビを入れることだけです。
そんなわけでとんそく子さん、通常ルビは日本語ですが、hanaさんならルビハングルでもOKですよね? よろぴく。

とんそく子
ハングルルビOKっす
小山内園子

この数行の文章を訳すためにも、いかにリサーチに時間がかかったか。原点に戻った気がしやす。教え子は常に師の背中に学ぶ!


현주 다이어리 #002 짜파게티(2026年8月17日の日記)

점심, 저녁을 점심, 저녁답게 먹기로 했다.
그래서 마구 땡기는 짜파게티를 만들었다.
기생충 영화처럼 고기와 함께 먹었다.
저런 부잣집에서 짜파게티를 먹는구나,
역시 부자니까 위에 한우를 얹는구나,
뭐 다들 그런 생각하면서 그 장면을 봤겠지?
나도 고기 얹었다. 훗

그나저나 오픈 예정 하나마트가 갈 곳을 몰라 헤매고 있다는
SNS투고를 봤다.
이제 한국 식품은 어디서 사나…

小山内園子さんの日本語訳
昼食、夕食を、昼食、夕食らしく食べることにした。
それで、むしょうに食べたくなってチャパゲティを作った。
映画『パラサイト』みたいに、お肉と一緒に食べた。
あんなお金持ちの家で、チャパゲティを食べるんだ、
やっぱお金持ちだから、その上に韓牛をのせちゃうんだ
まあ、みんなそんなふうに思いながら、あのシーンを見たよね。
私もお肉のっけたよ。ふふふ。
そういえば、オープン予定だったハナマートの出店がまごついているというSNSの投稿を見た。
これから韓国食品、どこで買おう……

翻訳に関するやり取り

小山内園子
質問です。「위에 한우를 얻는구나」が얹다/넣다ではなく얻다なのは、たくさんのものを手にしている金持ちとのダブルミーニングですか?

현주
잉? 제가 잘못 입력했나 본데요? ㅠㅠ
얹는구나 입니다.

小山内園子
了解です。訳文修正しました。原文も修正しておいてください!

とんそく子

深い意味があるのかと思ったら、まさかの入力ミス(笑)。
「현주 다이어리」、こんなやり取りをしながら訳ができあがっていきます。


현주 다이어리 #003 은근히(2026年8月19日の日記

당시엔 아무 생각 없다
당시엔 아무 느낌도 없다
그냥 듣고 먹고 본다
그런데 집에 와서 자꾸 생각난다
그 느낌은 “매우, 너무, 진짜”보다 세다
그리고 오래간다.
이럴 때 앞에 쓰면 좋은 말 “은근히”

“은근히 열받네”

이 기분 오래갈 확률 100%

小山内園子さんの日本語訳
それが起きた時は何も思わない
それが起きた時は何も感じない
普通に聞いて、食べて、見ている
ところが、家に帰ってからも妙に頭によみがえる
その感覚は、「매우(とても)、너무(すごく)、진짜(本当に)」より強い
そして、長く後を引く。
そういうとき、前に置くといい言葉が「은근히(なんとなく)」

「なんとなく、ムカつくんだよな」

この気分が長引く確率、100%
とんそく子

辞書を引かなくても、全部知ってる単語。
なのに全然訳せない。
自分で訳すと、辞書的な意味をただ並べただけみたいになってしまうんですよね。
小山内さん、やっぱすげぇ!
そして承賢珠先生、いい文章を提供してくれる!(笑)


현주 다이어리 #004 AI비서(2026年8月21日の日記

비서라고 하기엔 내가 비서 같은.
처음 챗GPT를 결제할 땐 몇 날 며칠을 숙고했고,
어째 상태가 좀 맛이 갔네 라고 생각했을 땐
바로 제미나이로 갈아탔다.
그리고 오늘은 아직 유료기간도 남아 있는
제미나이보다 훌륭해 보이는 비서 클로드로 갈아탔다.

애들이 문제가 아니고 내가 문제일지도.

小山内園子さんの日本語訳
秘書っていうより、こっちが秘書みたいな。
最初にChatGPTの有料版にした時は、何日も何日も熟考して、
なんかイマイチ面白くなくなったな、と思った時は
あっさりGeminiに乗り換えた。
そして今日は、まだ有料期間が残っているGeminiより
賢そうに見える秘書、Claudeへ移行した。

この子たちの問題じゃなくって、こっちが問題かも。
とんそく子

바로を「あっさり」と訳すそのセンス!
辞書を引いたって「あっさり」は出てこない。
そのセンスをください!


현주 다이어리 #005 부사(2026年8月24日の日記

부사가 어렵다.
이거다 하는 일본어 대응 표현을 찾기가 힘들다.
(내 실력이 문젠가?)
부사어를 정복할 수 있는
뭐 그런 사전이나 책 같은 게 있었으면…

이라기보다 내가 만들어 보고 싶다.

小山内園子さんの日本語訳
副詞が難しい。
しっくりくる日本語の対応表現を見つけるのが大変。
(私の実力の問題?)
副詞を克服できる
そんな辞書や本があったらなあ……。

っていうか、自分で作ってみたい。

현주 다이어리 #006 상상(2026年8月26日の日記

누구에게도 말할 수 없는
어떤 상상을 하면서 영사관에 갔다.
허탕친 여권 갱신을 위해서.
혹 그곳에서 일하는 아는 사람과 만나서
이런 일이 생기면 어떨까 하는 상상.
이 상상이 현실화된다면 그것은 기적에 가까운 일이 될 것이다.
물론 한번도 상상이 이루어진 적은 없다.
하지만 그 아는 사람을 만났다.

상상의 반은 이루어진 건가.

小山内園子さんの日本語訳
誰にも言えない
ある想像をしながら、領事館に行った。
無駄足で終わったけど、パスポートの更新のために。
もしかしてそこで、仕事上の知り合いと出くわして
あんなことが起きちゃったりして、という想像。
その想像が現実になったら、奇跡に近い出来事になるはず。
もちろん、想像が実現したことは一度もない。
だけど、その知り合いとは出くわした。

想像の半分は、叶ったのだろうか。
とんそく子

で、샘、何を想像してたの!?

最後まで読んでも、肝心の「誰にも言えない想像」は明かされないまま(笑)。
全部説明しないからこそ、その先を勝手に想像してしまうぜ。


현주 다이어리 #007 추배도(2026年8月28日の日記

신문 칼럼을 통해 추배도라는 예언서를 알게 되었다.
어릴 때부터 들어왔던 노스트라다무스 말고도
예언서가 많이 있을 거라는 생각을 못하던 차에
간단하게 소개된 추배도의 내용은
노스트라다무스보다 평화로웠고
더 그럴듯했다.

며칠 전 윤어게인을 외치는 SNS계정이
AI로 만들어진 것이라는 뉴스를 봤다.
노스트라다무스는 지구가 멸망한다고 했지만
추배도에서는 인류가 마지막에 모두 하나가 된다고 했다며
그 칼럼에서는 그것이 행복한 결말이라 했다.

원래 하나가 아니었는데 하나가 된다는 말은
화합과 평화라기보다는
너와 나 구분이 안 되는 혼돈이 아닐까?
지구 멸망보다 더 무서운 일이 아닐까?
윤어게인 AI를 보며 그런 생각이 들었다.

小山内園子さんの日本語訳
新聞のコラムで、「チュベド」という予言の書を知った。
子どもの頃から耳にしてきたノストラダムス以外にも
予言書がいろいろあるとは思っていなかったのに加えて、
さらっと紹介された「チュベド」の内容は
ノストラダムスより穏やかで、少しそれらしかった。

何日か前、「ユン・アゲイン」と叫んでいるSNSのアカウントが
AIによって作られたものだったというニュースを見かけた。
ノストラダムスは地球が滅びると言ったけれど
「チュベド」では、人類が最終的にみな一つになるとされていて、
そのコラムでは、それを幸福な結末だとしていた。

もともと一つではなかったのに一つになるというのは
和合や平和というよりは
「あなた」と「私」の区別がつかないカオスではないのだろうか?
地球が滅亡するより、恐ろしいことではないだろうか?
「ユン・アゲイン」のAIを見ながら、そんなことを思った。

翻訳に関するやり取り

小山内園子
一見よさげなチュベドの結論「みんなが一つになる」を、カオスではないかと問うあたり、スン先生の鋭さが出てると思いました!先生が読んだコラムのURLを知りたいです。

현주
한겨레신문입니다.
ハンギョレ新聞のコラムはこちら

次回の현주 다이어리と日本語訳もお楽しみに

今回は、8月15日〜28日に公開した「현주 다이어리」#001〜#007を、日本語訳とともに振り返りました。

原文を読んだときに想像していた内容と、日本語訳を比べてみてどうでしたか?

「この表現が気になった」
「自分ならこう訳してみたい」
「この日記、なんか好き」

そんなことがあれば、ぜひコメントで聞かせてください。

「현주 다이어리」の韓国語原文は、Xで毎週月・水・金に、Instagramで毎週月曜→金曜に公開しています。

次回の日本語訳と翻訳ノートも、約2週間後にhana+で公開予定です。

執筆|承賢珠
翻訳|小山内園子
企画・進行|とんそく子

今後のスケジュール

プロフィール

執筆者

승현주(承賢珠)

韓国語講師

韓国・漢陽大学校大学院国語国文学科修了(文学修士)。1999年来日。HANA韓国語スクールで講師を務める他、コリ文語学堂、湘南工科大学、東京科学大学、フェリス女学院大学、チェッコリ翻訳スクール、外務省語学研修所でも非常勤講師。著書に『ハングル検定対策3級問題集』(共著、白水社)、韓国語きほん単語集(共著、新星出版社)、訳書『日本の衣食住』まるごと事典(IBC)、『세계시장에서 살아남는 S급 인재의 조건』(한울)、監修『도쿄산책』(한울)、Chat diary ハングルで3行日記(共著、アルク)、『読む、書く、聞く、話す 4つの力がぐんぐん伸びる! 韓国語初級ドリル』(共著、HANA)、『みんなの韓国語』(共著、白水社)。

翻訳者

小山内園子(おさないそのこ)

韓日翻訳者

NHK報道局ディレクターを経て、延世大学などで韓国語を学ぶ。訳書に『破果』『破砕』(ク・ビョンモ、岩波書店)、『大丈夫な人』『大仏ホテルの幽霊』(カン・ファギル、白水社)、『光っていません』(イム・ソヌ、東京創元社)、『ハロー、ベイビー』(キム・ウィギョン、新潮社)、『願うのは私に禁じられたこと』(梁貴子、文藝春秋)、『耳をすませば』(チョ・ナムジュ、筑摩書房)など。すんみとの共訳書に、『私たちが記したもの』(チョ・ナムジュ、筑摩書房)、『韓国、男子』(チェ・テソプ、みすず書房)など。著書に『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』がある。

企画・編集

とんそく子(浅見綾子)

HANA 出版部長/マーケティング担当

大学院在学中に、韓国のソウル大学語学堂で半年間学び、その後、聖公会大学へ交換留学。修士課程修了後は、韓国の語学教材出版社に5年間勤務する。 帰国後、いくつかの出版社を経てHANAへ。2020年に営業から編集へ異動し、編集という仕事の奥深さと大変さを知る。以来、営業時代に「生意気なことを言ってごめんなさい」と反省する日々。 HANA韓国語スクールの運営担当を経て、現在は出版のマーケティングを担当。口癖は「あれ、えーっとあれ」。
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