初級学習者なら誰もが知っている副詞でも、実は日本語訳を見ているだけでは見落としがちな使い方があります。
文中の位置や一緒に使う単語によって変わってくる意味など、文全体を見ることによって分かってくる用法があります。
좀(ちょっと、少し、ちょっとした)
ハングル検定5級レベル
- 제가 키가 좀 작죠?
- 이제 그만 좀 해라.
- 내가 좀 널 많이 좋아해.
日本語訳
- 私、背がちょっと低いでしょう?
- もういいかげんにして。
- あなたのことが大好き。
「少し、ちょっと」と訳される、基本中の基本の副詞。1のように、程度が低いことを表す用法が基本です。注意する点は、用言の直前に副詞を持ってくること。
日本語では「ちょっと背が低い」と言うことが多いですが、韓国語では1のように、用言の直前に좀を使います。
좀の用法で特徴的なのは、2のように依頼や命令などで使われて婉曲な気持ちを表すものです。
例えば食堂で「水を下さい」と言うとき、韓国語で물 주세요とだけ言うと失礼な言い方になってしまうため、물 좀 주세요のように좀を入れるのが必須です。ここでも副詞の位置に注意しましょう。
また、3では、副詞の좀が副詞の많이を修飾しています。ここでの좀は、「少し」という意味ではなく、많이をさらに強調する「とても」の意味です。
このように、文字通りに解釈すると違う意味になってしまう좀の用法も、日本語訳の「ちょっと」からは出てきにくいため、使いこなせるように練習しましょう。
더(もっと、さらに、もう)
ハングル検定5級レベル
- 이제 더 만나지 않을 거야.
- 내가 더 잘할게.
- 용돈 더 주세요.
日本語訳
- もう会わないつもりよ。
- 私の方が尽くすわ。
- もっとお小遣い下さい。
「今の状態よりもさらに」ということで、3のような使い方が一般的です。「もう一回」など、動作の回数を追加したりするときにも使われます。
「더+한번+用言」ではなく「한번+더+用言」のように用言の直前に置かれる点に注意しましょう。
また、他のものと比較して「より大きい、より静かだ」などのような「より」の意味を表すこともあります。直訳で「より~だ」としてもいいですが、「~の方が」と訳すと自然になることが多いです。
2のような例では、「私がより〜」よりも「私の方が〜」とするとよいでしょう。
잘(うまく、うまいこと)
ハングル検定5級レベル
- 괜찮아, 잘될 거야.
- 전 잘 못 하는데요.
- 잘 먹고 잘살아라!
日本語訳
- 大丈夫、うまくいくわ。
- 私はうまくできませんが。
- (自分だけ)よく食べてよく暮らせ!
「よく、うまく」と訳されますが、これらの日本語訳よりももっと広い範囲をカバーします。
動詞の前に置かれ、その動作が成功したことを表したり、その動作をして結果的に良かったという感情を抱いたりしたことなども表すことができます。
用例では、잘되다のように成功を意味したり、잘 먹다のように「良い物を食べる」ということを表したりしています。
過去形で잘 먹었다、잘 먹었습니다と言えば、ご存じ「ごちそうさま」になります。「良い物を食べました」「食べられてうれしかったです」ということを表します。
다(全部、全て)
ハングル検定5級レベル
- 연애가 다 그런 거 아냐?
- 애들 다 데리고 와.
- 다 괜찮아질 거야.
日本語訳
- 恋愛なんてそんなもんじゃない?
- 子どもたちを全員連れてきて。
- 全部平気になるわよ。
2のように、具体的に数えられるものについて「残さず全て」という意味でも用いられますし、1のように、抽象的なものについて「例外なく」という意味でも用いられます。
日本語でも「全て忘れる」など、抽象的なことについて「全部、全て」を使うことはできますが、韓国語の다はそれよりも意味が広く、~이/가 다 그렇다などの形で「~とはそういうものだ」という一般論を言う使い方などもできます。
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