教保文庫の2026年9月の月間ベスト10および注目の新刊(韓国小説)をご紹介します。連作ミステリー小説の『韓国史異常現象研究院』が1位を獲得したほか、韓国で国民的な作家と評されるチョ・ジョンネの新作長編小説が4位にランクインしました。注目の新刊では、邦訳も多数刊行されているキム・ヨンスの短編集などをとりあげています。
※ランキング記事ではハングルのルビを省略します。
1位:『한국사 이상현상 연구원(일반판)(韓国史異常現象研究院 一般版)』
최인서(チェ・インソ)著/다이브(ダイブ)刊/2026.8.31

최인서
2位:『수족관(水族館)』
유래혁 (ユ・レヒョク)著/포스터샵(ポスターショップ)刊/2024.1.11

유래혁
3位:『모순(矛盾)』(ハードカバー)
양귀자(梁貴子)著/쓰다(スダ)刊/2013.4.1

양귀자
4位:『서리꽃 1(雪の華1)ハードカバー』
조정래(チョ・ジョンネ)著/해냄(ヘネム出版社)刊/2026.8.24

조정래
朝鮮半島の現代史を描き、高い評価を得た大河小説『太白山脈』(邦訳版全10巻は筒井真樹子、神谷丹路ほか訳によりホーム社から刊行)の著者による新作長編小説(全2巻)。雪の降りしきる夜、イ・ジェイは大学時代に詩画展をともにした仲間たちと5年ぶりに再会する。幸せなテソク、ウンハ夫妻とは対照的に、ジェイが密かに心を寄せていたソインは、かつての清らかな美しさを失っていた。詩と絵画を愛する二人が織りなす、純粋で美しい愛の物語です。
5位:『빵충 사육 준수 사항(パン虫飼育についての遵守事項)』
김혜영(キム・ヘヨン)著/안전가옥(安全家屋)刊/2026.7.22

김혜영
6位:『절창(切創)』
구병모(ク・ビョンモ)著/문학동네(文学トンネ)刊/2025.9.17

구병모
7位:『녹색 절벽의 신자들 (緑の絶壁の信者たち)』
조예은(チョ・イェウン)著/오리지널스(オリジナルス)刊/2026.9.8

조예은
カルト宗教団体が引き起こした惨劇と、その真相が明らかになるまでの混乱を描く物語。新鋭のホラー作家による3年ぶりの長編小説で、日本語で読める著者の作品に、短編集『カクテル、ラブ、ゾンビ』(カン・バンファ訳/かんき出版/2024)があります。
8位:『급류(急流)』
정대건(チョン・デゴン)著/민음사(民音社)刊/2022.12.22

정대건
9位:『찌니주의보(ジニ注意報)』
정지아(チョン・ジア)著/창비(チャンビ)刊/2026.8.17

정지아
10位:『안녕이라 그랬어(アンニョン、と言った)』
김애란(キム・エラン)著/문학동네(文学トンネ)刊/2025.6.20

김애란
注目の新刊
『빵과 유우(パンと牛乳)』
한은형(ハン・ウニョン)著/문학동네(文学トンネ)刊/2026.8.5

한은형
主人公のミンジは、「植物性の観相」だという理由でスカウトされ、健康的な消費と倫理的な実践を掲げるハイセンスなヴィーガンレストランで働くことになる。しかし彼女自身はヴィーガンではなく、理念を前面に押し出す店で働くことにどこか気まずさを覚えていた。そんなミンジにオーナーは「草を食べるライオンになったと思えばいい」と軽く言い聞かせ、気づけば彼女は店を任される立場にまでなっていた――(「植物性観相」)。現代社会の矛盾や歪みをテーマに、その中で揺れ動く人間の複雑な心理を描いた短編が7編収録されています。
『눈 내리는 삼일포(雪の降る三日浦)』
김연수(キム・ヨンス)著/문학동네(文学トンネ)刊/2026.10.2

김연수
『ワンダーボーイ』(きむ ふな訳/クオン/2016)や『夜は歌う』(橋本智保訳/新泉社/2020)など邦訳も多数刊行され、2026年3月には平野啓一郎と『近接した世界』を発表して話題を集めた著者による新作短編集です。朝鮮後期の画家シム・サジョンの絵にまつわる架空の逸話を描いた時代小説「雪の降る三日浦」をはじめ、野球やサーカス、伝統芸能など、一見すると無関係に思えるモチーフを軽やかにつなぎ合わせながら、人生の目撃者は他の誰でもなく自分自身であることを伝える物語「私たちの人生の目撃者」など、幅広いテーマで綴られた物語が全9作収録されています。(文/高上由賀)
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