最近ますます注目を集める韓国の文学。「いつか韓国語の読書を趣味として楽しめるようになりたい」という人も多いはず。
だいぶ遠い目標のように思えますが、楽しみながら取り組むうちにどんどん韓国語の力がついて、いつかそれが可能になる多読という学習法があります。
この記事では、韓国語の多読を広める活動を行っている翻訳者の渡辺奈緒子さんが、学習者の多読に向いている本を、隔週で1冊ずつ、簡単なものから紹介していきます。まずは多読とは何なのか、どう取り組めばいいのかについて教えていただきます。
韓国語の多読との出会い
みなさん、はじめまして! 渡辺奈緒子と申します。東京で韓国語教室「ことばの森ソルレム」を主宰し、国分寺教室では韓国の絵本を読む「ソルレム韓国語多読の会」を開いています。韓国の絵本や児童書の翻訳者としても活動しています。
わたしはソウルで育ち、韓国語とは長い付き合いになります。でも、12年前に「多読」と「韓国の絵本」に出会ったことが、今のわたしにつながる大きな転換点になりました。それ以来、その世界にすっかり魅了され、韓国の絵本を読むことを暮らしの一部にしてきました。
みなさんは日頃、韓国の本を読むことがありますか?
勉強のために読む場合、知らない言葉があれば辞書をひいて単語ノートをつくったり、訳を書き込んだりと、「読む」以外の活動とセットになっているかもしれません。
わたしも以前は、そんなふうに韓国語を読んでいました。でも、その読み方では、結局ごく少量の文章しか読めていませんでした。はやく韓国の普通の本を読めるようになりたいなあ……と思っていたとき、「多読」に出会ったのです。
多読を楽しむ姿に心を動かされた
あとで詳しく説明しますが、「辞書をひかないで読む」「わからないところは飛ばす」といった多読の読み方をはじめて知ったときは「それで本当に大丈夫?」と驚きました。それまで真面目な「辞書派」だっただけに、戸惑いも大きかったのだと思います。
でも、英語多読や日本語多読の現場を見て、やさしい本をたくさん用意してそれぞれが自由に読むスタイルに、「楽しそう!」と心を動かされました。すぐにでも韓国語ではじめてみたい気持ちになったのを覚えています。
なにより印象的だったのは、英語多読を続けている人たちが、人生の趣味として心から英語の本を楽しんでいる姿でした。「わたしも本当はこんなふうに読みたい」と、あらたな目標ができました。
そこから、「韓国語多読の会」を立ち上げ、たくさんの仲間とともに絵本を読みはじめました。
「この絵本がおもしろい」「この作家さんの絵がとても素敵」と、本を囲んでわいわいやっているうちに、だんだん絵本にも詳しくなり、仲間も増え、韓国の本を読むことが日常になったのです。
これから、多読の基本や本選びのポイント、続けるためのヒント、日本で手に入る多読向けの本などをご紹介していきます。みなさんもぜひ、今日から韓国語多読をはじめてみませんか? 韓国語での読書が「勉強」から「趣味」へと変わる、大きな転換点になるはずです!
そもそも多読ってなに?

あらためて、多読とは、自分の興味やレベルに合ったやさしい本をたくさん読むことです。
辞書はひかず、多少わからないところがあっても、だいたいの内容を楽しみながら読み進めます。
「勉強」というより、普通の「読書」に近い読み方です。
言語を身につけるには、「理解できるインプット」が欠かせません。韓国語に触れて、「わかった!」という体験を積み重ねることで、少しずつ言葉が身についていきます。
つまり、できるだけ多くの韓国語に触れることが大切なのです。その点、多読を習慣にすれば、無理なく大量のインプットを確保することができます。読めば読むほど読解力が育ち、その力は聞く力、話す力、書く力にも自然につながっていきます。
さらに、読むことも、韓国語を使うことのひとつです。「韓国語を使う機会がない」と感じている人でも、毎日少しずつ読書をつづければ、「今日も韓国語を使っている」という実感を持つことができます。
1日5分だとしても「韓国語を使った日」になる!
たとえ留学をしていなくても、韓国語を使う環境にいなくても、1日5分、絵本を1冊読むだけで、その日は韓国語を使った日になります。
そんな小さな積み重ねが、韓国語を読む力を育て、やがて韓国語で読書が楽しめるようになるのです!
多読は、「頑張って読む」勉強法ではありません。自分が面白いと思える本と出会い、韓国語で読む時間そのものを楽しむものです。ぜひお気に入りの一冊を見つけて、韓国語で読む毎日をはじめてみてください。
次回は、多読のコツについて詳しく話してみたいと思います。
よくある質問
ハナタスQ. やさしい本を読んでいて、韓国語がほんとうに上達するの?
渡辺奈緒子A. やさしい本は、辞書がなくてもすらすら楽しく読めます。適切な速さで読むと、量もたくさん読むことができます。
読めると自信がついてもっと読みたくなるものなので、読む習慣がつき、韓国語の上達にもつながっていきます。
新しい単語との遭遇回数は少ないかもしれませんが、すでに知っている単語やフレーズを読み取る処理速度が上がっていくので、リスニング力にも良い影響があります。
逆に、難しい本を無理に読もうとすると、読むスピードが落ち、話の筋を追えなくなって楽しめなくなります。楽しくないことはつづかないですよね?
結果的に韓国語の本を読むことから離れてしまうことにもなりかねません。

