「현주 다이어리」#008〜#013|日本語訳と翻訳ノート

韓国語講師ヒョンジュさんが、日本で暮らす中で感じたことや考えたことを、短い韓国語でつづる「현주 다이어리(ヒョンジュダイアリー)」。


今回も、韓日翻訳者小山内園子さんによる日本語訳とともにお届けします。

→「현주 다이어리」についてはこちら

현주 다이어리 #008 시위(2026年8月31日の日記)

“정치인들의 행태를 참을 수 없어서 시위에 참가했어요”

어떤 문법을 연습하다 나온 예문이었는지 기억나지 않지만
“오~ 예문이에요?” 하고 묻자 진짜로 참가했다는 대답.

순간 놀랍기도 하고
항상 입만 나불거린 거 같은 내가 부끄럽기도 하고.

현길언 선생님의 “사제와 제물”이 떠올랐다.

小山内園子さんの日本語訳
「政治家たちのふるまいに耐えられなくて、デモに参加しました」

どんな文法の練習中に出てきた例文だったかは思い出せないが
「おお、例文ですか?」と聞いたら、本当に参加した、という答え。

一瞬驚きもし、
いつも口先ばかりだったような自分が、恥ずかしくもなり。

作家ヒョン・ギルオン(玄吉彦)の「司祭と祭物」が頭に浮かんだ。

翻訳に関するやり取り

小山内園子
読んでみたいです、この短編。1990년 현대문학상 수상작이죠?

현주
맞습니다^^


현주 다이어리 #009 알상(2026年9月2日の日記)

그런 순간이 있어.
정말 의욕도 안 생기고 앞날이 갑갑할 때
아무것도 아닌 엑셀 칸을 바르게 조정하면서
갑자기 세상이 밝아지고 다 할 수 있을 거 같고
그런 날이 있어.
단지 엑셀 칸을 50으로 조정했을 뿐인데 말이야.
주변의 책들이 막 아름다워 보이고
오늘 내가 뭔가 이룰 수 있을 거 같은
막 그런 날이 있어.

…아마도 수업이 적은 날이라서 그런가 봐…

小山内園子さんの日本語訳
そういう瞬間がある。
本当にやる気が起きず、先行きが息苦しく感じられるとき、
何てことないエクセルのセルを、きちんと整えているうちに
突然世界が明るくなって、すべてできる気がして
そういう日がある。
ただエクセルのセルを50でそろえただけなのにね。
周りの本たちがやたらと美しく見えて
今日、私が何かを成し遂げられそうな
まさにそんな日がある。

……たぶん、授業が少ない日だからだろうね。

翻訳に関するやり取り

小山内園子
막 아름다워 보이고
막 그런 날이 있어.
막は、それぞれ意味が違うという理解で正しいでしょうか。私は最初の막は마구の縮約形で、「やたらに、むやみと」という意味に訳出したのですが……。

현주
맞습니다^^


현주 다이어리 #010 만들기(2026年9月4日の日記)

의욕에 불타올랐다.
그래서 열심히 만들었다.
다 잘 될 것 같았다.
그런데 완성 후의 문제점을 조목조목 지적해 놓은 글을 봤다.
절망했다. 그렇구나… 과정이 중요한 일이었구나…
과정을 모르는 내가 완성 후의 문제들을 과연 처리할 수 있을까
새로운 과제가 생겨 버렸다.

小山内園子さんの日本語訳
やる気まんまんだった。
だから、一生懸命作った。
すべてうまくいく気がした。
ところが、完成させてからの大変さを列挙している文章を見かけた。
がっくりきた。そっか……プロセスが大事な作業だったのか……。
プロセスをわかっていない私が、完成させた後の問題を、果たして処理できるだろうか。
新たな課題ができてしまった。

翻訳に関するやり取り

小山内園子
これは、具体的に何を作ったかを教えてもらえますか。
また、완성 후의 문제점을 조목조목 지적해 놓은 글というのは、上司からのフィードバックのようなものか、顔の知らない相手からの感想のようなものでしょうか。
指摘を目にしたのが当然のなりゆきか、たまたまのハプニングかによって、訳が変わりそうな気がするので、ヒントをお願いします!

현주
앱을 만들려고 했는데
만들 수는 있지만
SNS에서 앱을 만든 후의 관리라든가
그런 것들에 대해 납득할 만한 글이 있어서 충격받고 포기한 에피소드입니다 ㅠ

小山内園子

これはアプリの制作話だ、と聞いてから、ガラリと訳の調子が変わりました。
思いきって質問してから、つまりこれは、一種のチャレンジ、背伸びした体験、成長へのジャンプの文章なんだ、と納得しました。
すると自然に訳文が軽くなり、より個人の顔がうかがえる日本語をえらんでいました。不思議ですなあ、翻訳。


현주 다이어리 #011 일(2026年9月7日の日記)

당연한 말이지만
일에서 일만큼 중요한 건 인간 관계.
인간 관계 뛰어넘을 정도로 난 강철 멘탈 아니고.
뒤끝도 엄청 남는 스타일이고.
나이 들수록 꼬장꼬장해지는 거 같다.

小山内園子さんの日本語訳
当然のことだが
仕事において、仕事と同じくらい重要なのは人間関係。
人間関係をすっとばせるほど、私は鋼のメンタルではなく。
ものすごく、引きずるタイプであり。
歳をとるほど、こちこちゴリゴリになる気がする。
とんそく子

小山内さんが「인간 관계 뛰어넘을 정도로」を「人間関係をすっとばせるほど」、「뒤끝도 엄청 남는 스타일이고」を「ものすごく、引きずるタイプであり。」と訳しているのを見て、もう「勉強になります!」としか言いようがない。

ちなみに、写真のノートに書いてある日本語は、とんそく子の訳。見よ、この素人とプロの翻訳の違い💦


현주 다이어리 #012 분초 사회(2026年9月9日の日記)

트렌드 코리아에 ‘분초 사회’라는 말이 나온다.
요즘 현대인들은 시간을 분초 단위까지 생각해서
효율적으로 쓰기 위해 노력하고 있다는 내용이다.
그 시간에 내가 뭘 얻을 수 있는가를 먼저 생각한다는 말이다.
고로 내가 얻을 수 있는 것이 없다고 생각하면
그 시간 속으로 나를 밀어 넣지 않겠다라는 말이 되겠지?
인간미 없어 보이기도 하지만 그게 현실인걸.

小山内園子さんの日本語訳
『トレンドコリア』【訳注:1年ごとに韓国社会の消費傾向を予測する経済動向書】に「分秒社会」という言葉が出てくる。
近頃の現代人は、分、秒単位で考えるくらい
時間を効率的に使おうと努力している、という内容だ。
その時間で自分は何を手に入れられるかを、まず考えるってこと。
なら、得られるものがないと思えば
その時間に自分を投入しないって話だろうか?
人間味がないようにも見えるが、でもそれが現実だよね。

현주 다이어리 #013 차별(2026年9月11日の日記)

이건 이런 사람들에게 어울려.
그건 그런 사람들에게 어울려.
저건 저런 사람들에게 어울려.
별생각 없이 말하던 것들이
어쩌면 차별일지도 모른다는 생각을 했다.
개인의 생각이야 어쩔 수 없지만
발언이 사회 속으로 들어왔을 때,
다른 사람의 기분을 상하게 했을 때,
그건 더 이상 개인의 자유가 아닐 것이다.

小山内園子さんの日本語訳
これはこういう人たちにお似合い。
それはそういう人たちにお似合い。
あれはああいう人たちにお似合い。
さして考えもなしに言っていたことが
ひょっとしたら差別かもしれないという考えが浮かんだ。
個人の考えはどうしようもないけれど
発言が社会に入ってきたとき、
他の人の気分を傷つけたとき、
それはもはや、個人の自由ではないはず。

翻訳に関するやり取り

小山内園子
발언이 사회 속으로 들어왔을 때の部分の訳に一番悩みました。
誰かの発言が個人の範囲にとどまらず、社会という広がりの中で共有されたり、拡散されて、影響力を持つ。
その「ぐいぐい」くる感じが들어오다なので、しっくりくる訳語はないかと悩み。
「発言が社会に届いたとき」としかけたのですが、「届く」では少しおとなしい、うつくしい感じがしすぎると思って
一周回って直訳を選びました。

현주
맞습니다. 届く의 의미는 아닙니다. 개인의 범위에서 끝날 일이 아니라는 것을 나타낸 말입니다.

とんそく子

この「翻訳に関するやり取り」が勉強になりすぎるんですけど!

次回の현주 다이어리と日本語訳もお楽しみに

今回は、8月31日〜9月11日に公開した「현주 다이어리」#008〜#013を、日本語訳とともに振り返りました。

原文を読んだときに想像していた内容と、日本語訳を比べてみてどうでしたか?

「この表現が気になった」
「自分ならこう訳してみたい」
「この日記、なんか好き」

そんなことがあれば、ぜひコメントで聞かせてください。

「현주 다이어리」の韓国語原文は、Xで毎週月・水・金に、Instagramで毎週金曜に公開しています。

次回の日本語訳と翻訳ノートも、約2週間後にhana+で公開予定です。

執筆|承賢珠
翻訳|小山内園子
企画・進行|とんそく子

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プロフィール

執筆者

승현주(承賢珠)

韓国語講師

韓国・漢陽大学校大学院国語国文学科修了(文学修士)。1999年来日。HANA韓国語スクールで講師を務める他、コリ文語学堂、湘南工科大学、東京科学大学、フェリス女学院大学、チェッコリ翻訳スクール、外務省語学研修所でも非常勤講師。著書に『ハングル検定対策3級問題集』(共著、白水社)、韓国語きほん単語集(共著、新星出版社)、訳書『日本の衣食住』まるごと事典(IBC)、『세계시장에서 살아남는 S급 인재의 조건』(한울)、監修『도쿄산책』(한울)、Chat diary ハングルで3行日記(共著、アルク)、『読む、書く、聞く、話す 4つの力がぐんぐん伸びる! 韓国語初級ドリル』(共著、HANA)、『みんなの韓国語』(共著、白水社)。

翻訳者

小山内園子(おさないそのこ)

韓日翻訳者

NHK報道局ディレクターを経て、延世大学などで韓国語を学ぶ。訳書に『破果』『破砕』(ク・ビョンモ、岩波書店)、『大丈夫な人』『大仏ホテルの幽霊』(カン・ファギル、白水社)、『光っていません』(イム・ソヌ、東京創元社)、『ハロー、ベイビー』(キム・ウィギョン、新潮社)、『願うのは私に禁じられたこと』(梁貴子、文藝春秋)、『耳をすませば』(チョ・ナムジュ、筑摩書房)など。すんみとの共訳書に、『私たちが記したもの』(チョ・ナムジュ、筑摩書房)、『韓国、男子』(チェ・テソプ、みすず書房)など。著書に『〈弱さ〉から読み解く韓国現代文学』がある。

企画・編集

とんそく子(浅見綾子)

HANA 出版部長/マーケティング担当

大学院在学中に、韓国のソウル大学語学堂で半年間学び、その後、聖公会大学へ交換留学。修士課程修了後は、韓国の語学教材出版社に5年間勤務する。 帰国後、いくつかの出版社を経てHANAへ。2020年に営業から編集へ異動し、編集という仕事の奥深さと大変さを知る。以来、営業時代に「生意気なことを言ってごめんなさい」と反省する日々。 HANA韓国語スクールの運営担当を経て、現在は出版のマーケティングを担当。口癖は「あれ、えーっとあれ」。
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